相続登記が無料に…?登録免許税8万円が“ゼロになる”主な「2つのケース」【司法書士監修】
相続登記をしないケース 上記で説明した通り、相続登記をすることによるメリットがある一方で、相続登記には登録免許税がかかります。そのため、下記のシチュエーションでは登記されないこともあります。 ・価値が低い不動産で登記の意味を感じない ・法定相続人が共有で保有する まず、価値が低い不動産を所有するケースで説明します。 例えば、田舎の田畑や山林はほとんど価値がないこともあるでしょう。このようなケースでは、相続登記を司法書士などに依頼する費用の方がかさばり、登記をする意味が見いだせないと感じることもあるでしょう。 被相続人が残した不動産を法定相続人で共有する場合も、相続登記をしないケースが多いです。 例えば、子供A・子供B・子供Cの3人で相続する場合、相続割合はそれぞれ3分の1ずつです。田舎にある誰も住んでいない空き家を法定相続人で共有・管理するということもあるでしょう。誰かが住むわけではないと相続登記をするメリットを感じることがないかもしれません。 しかし相続登記を放置すると、次の代の相続が発生したときに、所有権が法定相続人の配偶者や子供に移ります。相続人の人数が増えると管理がしにくくなり、トラブルに発展する恐れがあります(相続人で分担した固定資産税を上手く回収できなくなる等)。 また、相続が繰り返されることにより、自分が所有者だと把握していない人も出てくるでしょう。このようなトラブルを防ぐために、共有での相続は避けた方がいいといえます。
(1)相続により土地を取得した人が相続登記をせずに死亡したケース
ここでは、上記で記した相続登記の登録免許税が免税になる主な2つのケースについて、詳しく解説します。 免税措置について記された、租税特別措置法第84条の2の3第1項は下記の通りです。 “個人が相続(相続人に対する遺贈を含む。以下この条において同じ。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成三十年四月一日から令和四年三月三十一日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない。” 引用:【租税特別措置法第84条の2の3第1項】 相続(法定相続人に対する遺贈を含む)によって土地を取得した場合に、法定相続人が相続登記をする前に死亡したときは、その死亡した法定相続人が相続した際の相続登記を免税にして次の法定相続人が登記できます。 例えば、Aさんが亡くなった父親Bから土地を相続するとしましょう。この土地は亡くなった祖父Cから父親Bが相続していたにもかかわらず、父親Bは相続登記を行っていませんでした。Aさんが相続登記をするためには父親Bの相続登記をする必要があり、Aさんは父親Bが相続登記をする分と、自分が相続登記を行う分の登録免許税を負担する必要があります。しかし、今回の免税措置を利用することにより、祖父Cから父親Bへの相続登記に関しては免税で登記できるようになりました。 相続により土地を取得した人が相続登記をせずに死亡したケースの免税措置は、金額の上限や土地の条件などがありません。そのため、評価が高く、登録免許税も高い不動産を保有している場合、免税制度を利用することで大きく負担を減らすことができるでしょう。後ほど詳しく説明しますが、相続登記は義務化となり、施行前の相続も対象です。相続登記をしないことによるペナルティも発生するので、登録免許税がかからない時期に登記をしておくことをおすすめします。