「天心より先に世界戦チャンスの可能性も」名門帝拳から出てきたもう一人の世界王者“予備軍”…6戦目の増田陸が“ワンパン”衝撃KOで日本バンタム級王座を奪取
アマ戦績は66戦52勝14敗で立教大ボクシング部出身。だが、立教大は、1年時で3部、2年時から2部で、強豪の中でしのぎを削ったわけではない。WBC&WBO世界ライトフライ級1位の岩田翔吉の紹介で、大学時代から帝拳に通い、元WBC世界バンタム級王者の“ゴッドレフト”山中慎介の系譜を継承するパンチ力が見初められ、2年前にプロデビューすると、“モンスター”バンタム級トーナメントに参戦した。 1回戦で富施を倒したが、昨年8月のプロ4戦目となる準決勝で、日本バンタム級王者の堤聖也(角海老宝石)に挑戦して判定で敗れた。堤を流血させる激戦だったが、キャリアの差をまざまざと見せつけられた。 挫折を味わったホープは、「のんびりでマイパースな性格でした。ボクシングに向き合う人生のすべてを見直した」という。 本田明彦会長は、「50点」と厳しい点数をつけたものの、「再戦は難しい。相手が対策を練ってきていた。その中でもパンチ力を生かして決め切った。左だけでなく右も強い。まだまだだがパンチ力だけは世界レベルのものがある。天心と対極のボクシングだ」と説明した。 増田の一つ年下の天心は、パンチはないが、本田会長でさえ予測不能の動きができる、一方の増田は典型的なハードパンチャー。 「今は増田も天心も、世界に挑戦するボクサーのもうひとつ下の2軍かな。2人とも、まだまだキャリアがないが、増田には学習能力がある。ベルトを防衛していく中で、どれだけ成長するか。ただ増田は天心と違ってアマチュアのキャリアがあり、ボクシングの基礎体力がある分だけ、先に世界へのチャンスがくるんじゃないか。2人とも来年の後半には、世界挑戦の可能性が出てくるかもしれない」 本田会長はそんな計画を明かした。 現在、バンタム級の4人の王者は全員日本人だが、彼らがベルトを保持している間に、2人を世界挑戦させたいとの願いもある。 増田は、天心の存在を「天心はジムメイトで階級も近い、注目されている選手なので刺激になります」と認めた上で、世界王者に向けての本音を明かす。 「本田会長に、そう言っていただけるのは、ありがたいし、光栄ですが、まだまだ反省点がいっぱいある、もっとレベルの高い世界。今、ここでハッキリと胸を張って“もう世界を獲れます”とは言えないです」 この実直さが、増田の進化を約束してくれる。 天心と増田。 名門帝拳が育てているバンタム級の至宝2人が、世界のベルトを独占する日がそう遠くない未来にやってくるのかもしれない。
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