「天心より先に世界戦チャンスの可能性も」名門帝拳から出てきたもう一人の世界王者“予備軍”…6戦目の増田陸が“ワンパン”衝撃KOで日本バンタム級王座を奪取
プロボクシングの日本バンタム級タイトルマッチが18日、後楽園ホールで行われ、挑戦者の増田陸(26、帝拳)が、王者の富施郁哉(26、ワタナベ)を4回2分21秒に右のショートカウンターフック一発で倒す衝撃のKOで新王者となった。両者は再戦で増田の連勝となった。本田明彦会長(76)は、増田を明日20日に両国国技館でWBA4位の世界ランカーを相手にプロ4戦目を戦う那須川天心(25)に並ぶ才能を持った逸材と認め、今後防衛を重ね、進化することを条件に、早ければ来年の後半にも、増田から先に世界挑戦の可能性があることを示唆した。 【画像】史上最強のSEXYクイーンら4人の“美ボディ”ラウンドガールが世界戦に登場!
聖地に衝撃が走った。 4ラウンドだった。 ジャッジ3者が支持した3ラウンドに続き、果敢に動き回る富施が、頭を深く沈めてから左右のパンチを放ち、突っ込んでは離れ、突っ込んでは離れを繰り返してくる戦法に増田は、「やりにくさ」を感じていた。リズムは完全に王者の富施。このラウンドは、くっつかれて、得意の左ストレートの距離を潰され、アッパーからボディ、ワンツーを至近距離で浴び、続けてポイントも持っていかれるところだった。だが、増田は「接近されたくなかったので距離をキープするため」と、あえて下がり、富施に攻めさせていた。 左ストレートを狙って追いかけてくる富施が、右のリードで距離をはかりながら、それを打とうとした刹那、ガラ空きとなった顎へ増田が電撃の右のショートカウンターを一閃。 「しっかりと手応えがあった」 富施はもんどりを打ってキャンバスに倒れた。 すぐさま立ち上がったが、目の焦点はあわず、染谷レフェリーがカウントを続ける間にファイティングポーズをとることができなかった。10カウントが数えられ、染谷レフェリーは大きく手を振ってKOを宣告した。コーナーの椅子に座ろうとして富施の足がよろけた。 「何も覚えていない。どのパンチで倒れましたか?右?警戒していなかった」 控室で元王者は、そう嘆いた。 昨年5月に7回TKO負けして以来の再戦に王者の富施は徹底した対策を練ってきた。1ラウンドこそ、危ない左ストレートもらい、バランスを崩したが、増田の武器である左ストレートを封じるため、ガードを固め、頭の位置を下げ、その距離に入らないというボクシングを徹底してきた。3ラウンドに増田は右目の上をカットした。 だが、増田もまた「サウスポーの左に対してのカウンターの右」を徹底的に練習してきた。 そして一発で形勢を逆転できる非凡なパンチ力がある。 「あの後やっていても、左も当たりやすくなり、いろんな展開にもっていけたと思う。納得のいく勝ち方です」 増田自身が「キーポイントだと思っていた」という右のジャブが、非常に効果的で衝撃のKO劇を生む“布石”としてあった。 頭を丸め、修行僧のような風体の増田は、悲願の日本タイトルのベルトを肩からかけ、ようやく「率直に嬉しかった」と表情を緩めた。
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