世界最高峰の野生生物写真コンテスト、審査員全員を魅了した大賞「命の群れ」のすごさとは
英ロンドン自然史博物館が主催、第60回「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」
陽光が降り注ぐ水中世界を泳ぐセイブヒキガエルのオタマジャクシを撮影するため、シェーン・グロス氏はシルトと藻類の薄い層を乱さないよう注意しながら、スイレンの茎をかき分けて何時間もシュノーケリングした。 ギャラリー:世界最高峰の野生生物写真コンテスト、圧巻の作品18点 そうして撮影された「生命の群れ」は10月8日、英国のロンドン自然史博物館が主催する第60回野生生物写真コンテスト「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の大賞に選出された。 「第60回野生生物写真コンテストで大賞に選ばれるのは非常に特別なことであり、湿地帯を紹介できるのは本当に名誉なことです」とグロス氏は述べている。グロス氏はカナダの海洋保全を取材するフォトジャーナリストで、ナショナル ジオグラフィックにも寄稿している。 グロス氏はカナダ、バンクーバー島のシダー湖でクリップほどの黒いオタマジャクシを撮影した。「課題は、カメラと被写体の距離を調整して十分な光を取り込み、被写体をカラフルな背景から浮かび上がらせることでした」とグロス氏はナショナル ジオグラフィック宛のメールで説明した。 「湿地帯は驚くほど美しい場所であると同時に、私たちの保護を切実に必要としています」とグロス氏は語る。都市を洪水から守るなど、「私たちのために多くのことをしてくれていますが、ほとんどの人はその事実に気付いていません」 「世界中で災害が起きています。自然の価値に目を向け、それに応じた行動をとるべきときがすでに来ています」 コンテストの審査員を務めた編集者のキャシー・モラン氏はプレスリリースで、「審査員全員が自然環境とオタマジャクシの間に充満する光、エネルギー、つながりに魅了されました」と述べた。
文=Christine Dell'Amore/訳=米井香織