トリプルクラウンか、五輪ダブル×世界選ダブルか、歴史的快挙を懸けたバトルが繰り広げられる【Cycle*2024 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース:プレビュー】
そもそも、例えば最終周回にウィティコンの激坂で上り巧者が飛び出して行ったとしても、フィニッシュラインはいまだ20kmも先なのだ。脚のある平地巧者たちが、粘り強く追走を仕掛ける余地は残っている。
「いまだかつてないほど興奮してる。だってこれ以上に僕向きの世界選はないほどだから」。こう豪語するタデイ・ポガチャルこそ、自他共に認める優勝大本命。今シーズンは出走54日で22勝とぶっちぎり、1998年以来26年ぶりとなるジロ&ツール同一年制覇=ダブルツールをも成功させた。当然、狙うは、1974年エディ・メルクス、1987年ステファン・ロッシュに次ぐ男子史上3人目のピンク&イエロー&レインボーの同一年獲得=トリプルクラウンだ。 モニュメントで現役最多タイの6勝を誇るポガチャルは、距離の長いワンデーにめっぽう強い。決して地形的には向いていなかったはずの昨夏のグラスゴー大会でさえ、フィニッシュ直後に嘔吐するほど死力を尽くし、見事3位に食い込んだ。この夏ツール総合3勝目を祝った後はパリ五輪を完全スキップし、1カ月半以上実戦から遠ざかっていたが、復帰2戦目となる9月15日のGPモントリオールでは軽々と独走勝利を手に入れた。
一方で3年前にはロード欧州チャンピオンとなり、2年前にはロード世界チャンピオンとなり、この夏にはロード五輪金メダリストとなり……24歳にして国際チャンピオンシップで史上最多の12メダルを誇るレムコ・エヴェネプール(ベルギー)は、つまり「無線なし」の戦い方を心得ている。ついでに言えば1週間前の世界選個人タイムトライアルでは「パワーメーター」なしで2連覇を果たした。 「好きなタイプの周回だ。あとはただタイミング良く飛び出すだけ」と、やはりエヴェネプールも自信を見せる。この夏は男子として初めて同一五輪で個人TTとロードレースのダブル制覇を果たし、やはり男子として史上初めて同一年の五輪TT&世界選TTのダブル快挙を成功させたばかり。9月29日の日曜日には、同一年の五輪TT&ロード&世界選TT&ロードの全制圧といういまだかつて誰にも手の届かなかった高みへと突き進む。
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