トリプルクラウンか、五輪ダブル×世界選ダブルか、歴史的快挙を懸けたバトルが繰り広げられる【Cycle*2024 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース:プレビュー】
スロベニアもベルギーも、今世界選には最大枠8人の出走が許されている。落車負傷で実力者のマテイ・モホリッチ(スロベニア)を欠くものの、ポガチャルの側には、ほんの3週間前にブエルタで4回目の総合優勝をもぎ取ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)がついている。またここ数年ベルギー代表チームの「ダブルエース」を務めてきたワウト・ファンアールト(ベルギー)もまた、ブエルタでの落車負傷により不在。逆に毎回恒例、大会前の「どちらがエース?」問題がない分、エヴェネプールは自分の走りだけに集中できるかもしれない。
ポガチャルvsエヴェネプールの一騎打ちばかり注目されるが、指折りのライバルたちも、年に1度しか巡ってこない機会を簡単に諦めるつもりはないはずだ。この1年間アルカンシェルをクールに着こなしたマチュー・ファンデルプール(オランダ)は、「今世界選でチャンスが皆無だと思ったら、スタートラインにさえ立たないだろう」と、2連覇に向けて強い意欲を示す。この春はロンド&ルーベ両制覇で石畳の王となった直後に、リエージュ3位で起伏攻略の可能性を証明した。1.5kgの減量で身体を絞り、チューリッヒの激坂群へ挑む。 ポガチャルがツール・ド・ラヴニールを制覇し、エヴェネプールがジュニア世界選で個人TT&ロードのダブル優勝を果たした2018年に、アンダー23部門でロード世界一となったマルク・ヒルシ(スイス)は、母国で、2人の巨人を迎え撃つ。8月半ばからの1カ月間でワンデー5連勝と、かつてないほど絶好調。「ついに僕にチャンスが巡ってきた。今大会へのモチベーションは高い」と、26年ぶりのスイス人ロード世界王者を目指す。
2020年から世界選2連覇のジュリアン・アラフィリップ(フランス)は、GPモントリオール3位で調子は上向き。五輪で最後までエヴェネプールにしがみついたヴァランタン・マドゥアスと、今ツール初日に鮮やかにマイヨ・ジョーヌをまとったロマン・バルデと共に、フランスの勝機を探る。マティアス・スケルモース、マッズ・ピーダスン、マグナス・コルト、カスパー・アスグリーン等々、各チームのエース級が集結したデンマーク代表は、果たしでどの選手が勝負のカードを切るのか。スペイン代表にはミケル・ランダ、カルロス・ロドリゲス、フアン・アユソと実力派クライマーが名を連ねるが、ナーバスなコース地形はむしろペリョ・ビルバオ向き。
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