前代未聞の事件はなぜ起きたのか? レスリング世界選手権を揺るがした“ペットボトル投げ入れ事件”<RS of the Year 2024>
ゲラエイの勝利が確定した瞬間、場内からは大ブーイングの嵐が湧き起こった。誰の目から見ても、納得のいかない裁定だったのだから無理もない。試合後、ミックスゾーンに現れた曽我部は目に涙をいっぱいためながら気丈に振る舞った。 「あと一歩のところでポイントを取れないということは、その取り組みが足りなかったということ。もっとレスリングと向き合いながら考えてやっていきたい」 もっと言いたいこともあるのではないかとも思ったが、曽我部は正々堂々と闘うアスリートとしての立場を貫いた。公式インタビュー後にオフレコで本音を吐露することもなかった。しかし、ペットボトル投げ入れ事件はそれだけで終わらなかった。 <了>
文=布施鋼治