アメリカで「構造化」するフェイクニュース 国民の分断とメディアへの不信
日本でも「脱真実」は加速するか
「フェイクニュース」を生んでしまう状況のそれぞれはアメリカの方が深刻な気がする。 しかし、分極化にしろ、メディア不信にしろ、放送のアドボカシー化にしろ、ネット時代の情報発信や記者教育の難しさなどは日本などの国でもすでに少しずつ進みつつある。 日本でも11月の衆議院選挙でいくつか指摘されたような「嘘」がネット社会ではさらに広がっていく可能性がある。「モリカケ」問題は右派から言えば「フェイク」にみえるのかもしれない。左派から見れば北朝鮮に対する「最大限の圧力」は「日本の軍国化を目指す安倍政権の陰謀」なのかもしれない。 「脱真実」は日本でも、ますます現実化していくのだろうか。いずれにしろ、「客観報道」はますます難しい時代になっていくのかもしれない。
------------------------------------ ■前嶋和弘(まえしま・かずひろ) 上智大学総合グローバル学部教授。専門はアメリカ現代政治。上智大学外国語学部英語学科卒業後,ジョージタウン大学大学院政治修士課程修了(MA),メリーランド大学大学院政治学博士課程修了(Ph.D.)。主要著作は『アメリカ政治とメディア:政治のインフラから政治の主役になるマスメディア』(単著,北樹出版,2011年)、『オバマ後のアメリカ政治:2012年大統領選挙と分断された政治の行方』(共編著,東信堂,2014年)、『ネット選挙が変える政治と社会:日米韓における新たな「公共圏」の姿』(共編著,慶応義塾大学出版会,2013年)