良かれと思った行動が、実は相手を苛立たせていた!?「精一杯ほめたのに反応が悪い・ありがとうの一言がなくてがっかり」すれ違いが生まれる理由とは
◆相手の性格は変えられないから… かつての私も、そう思い込んでいました。 私にとっては嬉しい「すごい!」というほめ言葉。それを周囲の人に積極的にかけていたら、当時の部下から「何がすごいのかわからない。テキトーに見ている言葉にしか聞こえない」と言われ、私は頭が真っ白になりました。 「こんなにほめてきたのに、まったく伝わっていなかった」 私にとってはポジティブな言葉が、相手にとってはネガティブな意味を与えていたことに初めて気づいたのです。そのときすでに、多くの部下が私から離れてしまっていました。 そして自分の思い込みに気づいた私は、「このままではいけない」と、やり方を変えることを決意。ほめ言葉の違いや仕事の進め方の違いなど、さまざまな点からコミュニケーションを研究し始めました。 それから16年間、多くの人を調査した結果、人の性格は大きく4タイプに分けられ、それぞれコミュニケーションの取り方が違うことが体系的に見出されたのです。 「性格統計学」と名づけたその理論では、自分の性格だけでなく、相手の性格までわかり、お互いの違いを知ることができます。 違いを知ることで、相手の性格は変えられなくても、自分の中で相手の受け止め方を変えることができるのです。 たとえば、「すごい!」がほめ言葉と受け取れない人は、具体的に評価されることが嬉しいタイプ。 「お風呂をピカピカにしてくれて、すごいね!」と言われるよりも、「浴槽だけじゃなくて、窓まで拭いてくれたんだね。細かいところまでよくやってくれたね」と具体的に評価することでほめられたと感じます。 冒頭のAさんも、「すごい!」とほめられただけでは、どこのことを言っているのかわからず、「ちゃんと見てくれていない」と思い込んでしまっていたのですね。
◆「なんでそうなるの!?」を減らすために それがわかっていれば、「ほめたのに無愛想で嫌なヤツ」ではなく、「具体的にほめてほしかったんだな」と相手の受け止め方が180度変わるのです。そして次からかける言葉も変わり、人間関係もよくなっていくでしょう。 生きていると、いろいろな人と出会います。 威圧的な態度をとる人、しつこい人、わがままな人、やる気がない人、冷たい人、重たい人……。 誰かに対して「なんでそうなるの!?」と思うことなんて毎日起こります。 でももしそれが、あなたの思い込みによるものだったら? 気づいていない相手の本音が隠れていたら? 相手の言葉の意味がわかれば、イラッとしたり、傷ついたり、悶々とすることも減っていきます。 自分の中の受け止め方を変えるだけで、人間関係のストレスは激減するのです。 ※本稿は、『性格が合わないんじゃなくて話がかみ合っていないから』(WAVE出版)の一部を再編集したものです
稲場真由美