オーストラリア最後の秘境(?)アーネムランドに潜入【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
みなさん、「秘境」ってどんなところを指すと思いますか? 辞書では大抵「外部の人たちが足を踏み入れたことがほぼなく、世間一般にはまだ知られていない場所」といった説明がされていますが…これだとハイキングルートがないそこらの「裏山」なんかも「秘境」になっちゃいますよね。 【写真16枚】ワニがウヨウヨの川を渡る様子も。アボリジナルたちが描いた壁画で有名な「インジャラクヒル(インジャラクの丘)」などを写真で見る 私が住むオーストラリア内陸部の名もなき牧場地帯(隣の家まで100キロメートルとか。笑)なんかも「秘境」になってしまう。 というわけで個人的には上記の説明以外の要素も入れるべきである気がします。それは「名前はなんか知っているんだけど、そこに何があるか全然わからない場所」。そして「なんだか知らないけど行ってみたくてウズウズする場所」。 私にとってのそういう「秘境」の一つが今回紹介する「アーネムランド」です! どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
【アーネムランド旅vol.1】「壁画」と「自然の迷路」、そして「絶景」の大冒険
オーストラリアに住んで25年。様々な場所を旅してきました。すべてを踏破したわけではないですし、踏破できるものでもないのですが、「そこには何があるのか? どういう地形なのか?」くらいはたいていわかっているつもりです。 でもず~っとず~っと「ここには一体何があるのだろう?」と疑問だった場所があるんです。それが「アーネムランド」です。 場所は以前【「カカドゥ国立公園」旅】シリーズで紹介した「カカドゥ国立公園」のさらに東。で、カカドゥに訪れるたびに「ここの先にはアーネムランドという場所があるんだよ」ということをガイドたちから聞かされてきました。 でも「へえ~。…で、そこに何があるの?」と尋ねると、みんな押し黙る。はい、ガイドでも行ったことがない人が多いのです。 でも単なる「住所」だけではなく、「アーネムランド」という「そのあたり全体を表すエリア名」はある。「アマゾン」とか「ヒマラヤ山地」みたいなものですね。ということは「注目すべき何か」があるはず。…とずっと気になっていたのです。 でも日本語で書かれたガイドはほとんどない。ネットで検索してみてもオーストラリア政府観光局またはノーザンテリトリー(北部準州)政府観光局の英語紹介文を日本語に翻訳したものはヒットするのですが、メディアの記事はほぼ見当たりません。そんなまさに「秘境中の秘境」です。 ちなみに「カカドゥ国立公園」は四国より少し広いくらいですが、「アーネムランド」はその4.5倍。9万平方キロメートルというから北海道よりも少し広いくらいです。でも人口はわずかに約1万6000人。このうち約1万2000人が先住民族であるアボリジナルピープル(「アボリジニ」という呼称は差別的と感じる人がいて使われなくなっています)とトレス海峡諸島人です。 つまり「ほとんど人がいない場所」で、かつ「先住民以外はほとんどいない場所」です。 能書きはこのくらいにして、いざ「アーネムランド」へ。今回の旅も以前紹介した【「カカドゥ国立公園」旅】シリーズの続きで、世界各国のメディア関係者(と言っても4人。笑)との合同プレスツアーです。