「部下が辞めない上司」は面接で何を見ている? 定着する人材を見極める「2つの質問」
皆さんの周りには、優秀な人材を見抜く力を持った管理職がいるでしょうか。「あの人が採用に賛成した社員はいつも活躍している、定着しやすい」──そんな管理職は面接で求職者の何を見ているのでしょうか。人材エージェントを経て、現在は組織コンサルタントを務める筆者が、部下が辞めない上司がやっている面接術を紹介します。 【詳細な図や写真】「どうして上司は認めてくれないんだ」と不満を募らせる人材には、根本にある認識が共通していることが多い(Photo/Shutterstock.com)
面接で確認すべき「2つの考え方」
入社後に定着し、会社を引っ張ってくれる人材かどうかを面接で見抜くためには、2つの考え方を確認すると効果的です。2つの考え方とは「自己評価意識」と「組織内位置認識」です。 自己評価意識とは、「自分への評価の決め手に関する意識」です。本来、自分への評価は他人しか決められません。社会人であれば「会社」が、経営者であれば「市場」が自分の評価者になる──これが、正しい自己評価意識です。 自分の評価者は自分だと強く思っている人は、上司や同僚のアドバイスを素直に受け入れにくい傾向にあり、なかなか成長しません。「一生懸命頑張っているのに、どうして上司は認めてくれないんだ」と不満を募らせ、すぐに離職してしまいます。 組織内位置認識とは、「上司と部下の関係性に対する認識」です。会社に所属している以上、上司の指示に従うものだという考えを持ってくれていなければ困ります。 「今日の17時までにこの書類を確認し、プレゼンテーション用の資料を作成してください」と告げた際、「この仕事はやりがいに乏しいため担当したくありません」と返すような部下とは、とても一緒に働けないでしょう。
【質問1】
では、求職者がどのような「自己評価意識」と「組織内位置認識」を持ち合わせているかをどう探ったら良いでしょうか。中途採用面接を想定し、解説します。
まず自己評価意識、つまり自分への評価の決め手に関する意識を見るには、次のように尋ねてみましょう。 【質問例】 前職(現職)で評価に納得がいかなかった経験はありますか? その返答が、「自分はこれだけ頑張ったのに上司や会社はまったく理解してくれませんでした」といった内容の場合は、自己評価意識がずれていると分かります。 反対に、「特にありません。評価は会社がするのでただ受け入れていました」や、「ありましたが、そのときに何をすれば評価してもらえるかを確認しにいき、次の日からその点を念頭に置いて仕事に臨みました」なら適切な自己評価意識を持っていると言えるでしょう。 もう1つ、失敗談を尋ねるのも有効です。失敗の内容、どう解決したか、原因をどう分析しているかを聞き出します。失敗を他人のせいにしているようだと、評価は自分が決めると認識している節があると言えます。