中止になったアニメイベント「3カ月あれば準備できる」知事発言が炎上 思惑のすれ違いはビンタ騒動に、来年のGW復活に向けた三つの課題
徳島市でゴールデンウイーク(GW)恒例のアニメイベントとして人気だった「マチ★アソビ」が今年、中止になった。2009年に始まり、期間中はアニメファンやコスプレーヤーら数万人が集結。〝聖地〟徳島が活気であふれる一大イベントで、徳島県も2023年は国の補助金も含め8千万円を負担するなど14年間で約8億円を支出して後押ししてきた。だが、昨年5月に就任した後藤田正純知事が方針を転換し、新たに民間主導での開催を打ち出したため、今年のGWは準備が間に合わず開催見送りに。関係者のすれ違いは「ビンタ騒動」にも発展し、声優ライブやコスプレーヤー目当ての県内外のファンらから批判の声が上がっている。(共同通信=別宮裕智) コスプレ世界一目指し競う 33カ国代表出場、名古屋 23年
▽実行委会長の「ビンタ騒動」 マチ★アソビは例年、GW期間と秋の年2回、県や民間事業者などでつくる実行委員会が開催。公園や商店街の中にステージが特設され、市内でさまざまな企画が繰り広げられる。 2009年のスタートから長年企画に携わってきたのは、「鬼滅の刃」で有名なアニメ制作会社「ユーフォーテーブル」(東京)。近藤光社長が徳島出身だったことから、前知事の飯泉嘉門氏が同社のスタジオを誘致した縁がある。 イベントの実行委員会には県も名を連ね、支援を続けてきた。 それが昨年5月、飯泉氏から後藤田知事に県トップが交代。後藤田知事は少なくとも昨年秋ごろには県庁内で、イベントの在り方を見直す姿勢を見せていた。 だが実行委と、その事務局である県との間で協議が設定されないまま越年。そして、関連イベント「ぷち★アソビ」が徳島市内で開催された今年2月12日に両者の「ボタンのかけ違い」(県担当者)が顕在化する。 実行委会長(当時)の女性「スタッフパスがほしい」
県職員「用意していないので渡せない」 イベントの受付で口論になり、会長が県職員を平手打ちした。 撮影のためパスが必要なマチ★アソビと違い、ぷち★アソビは不要だが、会長が勘違いしていた。 女性は前身イベントの発起人の一人で、マチ★アソビへの思い入れも強かった。関係者によると、マチ★アソビやぷち★アソビの運営に関する協議を県側に要請してもなかなか開かれなかったことから、不信感が募っていたという。 ▽「民間主導」の方針から1カ月で中止に 騒動の翌週の2月20日、後藤田知事は、民間主導で実施するとの考えを表明した。徳島市の阿波おどりへの県の支出が例年約1千万円なのに比べ、負担金が多すぎるとの見解を示した。 実行委は3月6日に会合を開き、GWの開催に向けて協議することで県といったんは合意した。しかし3月27日、県と実行委は「準備が間に合わない」と開催見送りを発表し、実行委もこの日、活動修了した。