発足時に「末期」、石破政権の船出◇時事通信10月世論調査【解説委員室から】
岸田政権は21年10月、青木率が67.7%(内閣40.3%、自民27.4%)でスタート。直後の衆院選で自民党は議席を減らしたものの、安定した国会運営が可能になる261議席を確保した。その後、続落傾向になり、昨年10月以降は5割を切り続け、退陣直前の9月は39.8%(内閣18.7%、自民21.1%)。石破政権の現状は、岸田政権の発足時とは比べ物にならないほど厳しく、菅政権末期以上の逆風下にあると言えよう。 岸田前首相の総裁任期満了に伴う9月の総裁選には、9人が立候補。各候補は、裏金事件に対する有権者の反発を和らげようと、党の再生、刷新をアピールしたが、不発に終わった。 ◇野党支持率に変化なし もっとも、自民党以外の各党の支持率を見る限り、野党に強い追い風が吹いているとは言えない。立憲民主党は4.6%(9月比0.6ポイント増)、日本維新の会2.2%(同0.1ポイント減)、共産党1.5%(同0.2ポイント増)、国民民主党1.2%(同0.3ポイント増)、れいわ新選組1.5%(同1.1ポイント増)といった具合だ。「支持政党なし」は62.2%(同1.9ポイント減)で、無党派層が6割を超える状況に変化はなかった。 今回の衆院選は前回と比べ、既成野党が候補者を一本化した選挙区は少ない。政権批判票が分散すれば、個人後援会や業界団体、連立を組む公明党の支持母体・創価学会などの組織票が期待できる自民党に有利に働くだろう。そこで注目されるのが、無党派層の動向だ。 無党派層の内閣支持率が低水準であることから明らかなように、衆院選での投票先は与党より野党が多いだろう。前回の投票率は、戦後3番目に低い55.93%。旧民主党が大勝、政権を奪取した09年は69.28%を記録している。 無党派層が動かなければ、投票率は低下。動けば動くほど、投票率は上昇し、野党の票が増える。投票率が与野党各党の勝敗を左右するのは、間違いなさそうだ。