発足時に「末期」、石破政権の船出◇時事通信10月世論調査【解説委員室から】
時事通信の10月世論調査によると、1日に発足した石破茂内閣の支持率は28.0%で、岸田文雄内閣最後の9月と比べ、9.3ポイント増加。自民党支持率は18.9%で、9月比で2.2ポイント低下した。発足時の支持率としては、内閣、自民党ともに異例の低さ。数字上は既に政権末期と言える。衆院選を戦う与野党各党に、衝撃が走った。(時事通信解説委員長 高橋正光) 【ひと目でわかる】内閣支持率の推移 ◇「支持」、最低の28.0% 「不支持」が上回る 調査は11~14日に、全国の18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は58.6%。 それによると、不支持率は30.1%(前月比27.4ポイント減)。「分からない」が最も多い41.9%(同18.1ポイント増)だった。衆院の解散時期などを巡り、石破首相が総裁選時の発言を翻したり、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、いわゆる裏金議員の公認問題での対応が批判されたりする状況下、政権に対する評価を保留した有権者が多かったようだ。 2000年以降の歴代内閣の発足時と比べると、麻生太郎内閣(38.6%)を10ポイント超下回る最低。政権のスタート時に、不支持率が支持率を上回るのも極めて異例だ。 内閣支持率を性別で見ると、男性27.5%、女性28.7%。世代別では、18~29歳が2割を切り(19.1%)、3割を超えたのは70歳以上(39.3%)だけだった。自民支持層の内閣支持率は60.2%、「支持政党なし」の無党派層では19.8%。 一方、自民党支持率(18.9%)を性別で比較すると、男性(21.6%)が女性(15.7%)より高い。世代別では、18~29歳が極端に低く(7.3%)、2割を超えたのは60歳以上(24.6%)のみ。 新内閣発足時の自民党支持率も、00年以降で最低だ。 ◇菅政権末期以上の逆風 政界では、内閣と自民党の支持率を合わせて5割を切ると、政権は早晩行き詰まるとされる。同党の青木幹雄元参院議員会長が唱えたことから「青木の法則」「青木率」と言われる。今回の調査結果を当てはめると、46.9%。石破政権はスタート時に、「青木率」を割り込んだことになる。「政権末期」と言えるゆえんだ。 自民党が与党に復帰して以降の歴代政権と比べると、7年8カ月続いた第2次安倍晋三政権は、「青木率」が5割を切ったことは一度もなし。新型コロナウイルスへの対応が批判され、衆院の任期満了を控えて、総裁選への不出馬に追い込まれた菅義偉政権の末期(21年7月調査)ですら、ぎりぎり5割(内閣29.3%、自民21.4%)を維持した。