写真にUFOや巨大ロボを追加したい? Windows標準の「ペイント」でできます!
■ 「ペイント」に新たな生成AI機能が追加 今週も「Copilot+ PC」のInsider Previewビルドで、今後実装予定のAI要素を先行体験してみる。今回は「ペイント」の情報だ。 【画像】範囲指定した上で[生成フィル]を選択 「ペイント」では既に画像生成AI「Cocreator」を利用できる。元絵に対して画像全体に加工を施すというもので、AIの導入としては面白いものの、実用性は正直いまひとつ(テスト内容が悪いとも言えるが)という印象であった。 この「ペイント」がアップデートされ、新たな機能が追加される。どうなっているのか見てみよう。検証には「Snapdragon X Plus」を搭載した「Surface Laptop 13.8インチ(第7世代)」を使用している。 ■ 範囲選択で生成AIがさらに便利になる アップデートの最大のポイントは、範囲選択による加工だ。左上にある[選択した部分]をクリックすると、四角形の範囲選択ができるので、画像の一部を選択する。 すると選択範囲の下に3つのアイコンが現れる。左から[生成フィル]、[生成消去]、[背景の削除]とある。順に見ていこう。 [生成フィル]ではテキストボックスが現れ、そこで指示したテキストに合ったものが生成される。 試しに琵琶湖岸で撮影した写真で、浜辺を範囲選択し、「手漕ぎボート」と指示してみる。そしてすぐ下にある[作成]をクリック。すると枠がクルクルと回るように光り、しばらくすると枠内に手漕ぎボートらしき画像が生成される。 この機能の面白いのは、画像との一体感を壊さないように配慮しつつ、新たな絵を生成するところ。つまり写真の中になるべく違和感のない状態で、新たなものを描き加えられる。 生成にかかる時間は、指定した枠のサイズが大きければ長くなるようだ。縦横500ピクセル程度だと、数秒で生成される。生成処理にはNPUを活用している。また生成したものが気に入らなければ、テキストボックスの下に出るリロードマークをクリックすれば、同じ条件で再度生成できる。テキストの内容を修正して生成も可能だ。 指示するテキストは、公序良俗に反するものは生成を拒否されることもあるが、それ以外は自由。UFOや巨大ロボットを指示しても、それなりに画像に沿ったものが出力されるので、なかなか遊びがいがある。 [生成消去]は、範囲選択した部分にあるものを消去しつつ、周囲の画像から推測して自然な形で消去する機能。いわゆる消しゴムマジック的機能は既にあるが、これは消したい部分をドラッグして塗るような操作だった。消したい部分を範囲選択できるようになったのが今回の新要素だ。 なお範囲選択は四角形だけでなく、自由選択も可能。実際に試してみると、そこそこ自然な形で処理してくれる。 [背景の削除]は、指定した範囲にいる人物などを残して、背景を消去するもの。適当な写真から人物がいる範囲を選択し、[背景の削除]を選ぶと、人物を残して背景が白抜きされる。デジタルアルバムを作ったりする際には重宝しそうだ。 「ペイント」はWindowsに古くからある標準アプリだが、線や字を入れられる程度の簡易なソフトという印象を持っている方が多いと思う。それが生成AIによってかなり強力な表現・加工能力を持ったと言える。特に[生成フィル]はかなり実用的なので、製品版Windows 11でもアップデートされたらぜひ使ってみていただきたい。 著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお) 1977年生まれ、滋賀県出身 ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。 ・著者Webサイト:https://ougi.net/
窓の杜,石田 賀津男