かつて日本に正規輸入された「イズデラ」を知っていたら超マニア認定! メルセデスのエンジンを搭載したドイツ製スーパーカーの相場は1億円以上!?
パフォーマンスはスーパーカーそのもの
1982年、シュルツ氏は「b b」社と袂を分かち、小規模生産車、デザイン、エンジニアリング・サービスに特化した「イズデラ(Isdera)」社をバーデン=ヴュルテンベルク州レオンベルクに設立した。その社名は、「Ingenieurbüro für Styling, DEsign und Racing」というドイツ語のイニシャルとされ、スタイリングと設計、そしてレース活動のためのエンジニアリングオフィスを自称していた。 そして2年後、同社はオリジナルのCW311プロジェクトをベースにした「インペラトール108i」を発表するに至る。メルセデス・ベンツからV型8気筒エンジンを調達し、さまざまなデザイン変更を加えながら、その後9年間で30台が生産された。 シャシーは300SLと同じく鋼管スペースフレームを採用。ボディはグラスファイバー製とされるいっぽうで、これも300SLからCW311に継承された、アイコニックなガルウイングドアを採用していた。 サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン、リアに上下トランスバースリンクを採用。4輪ともコイルスプリングとディスクブレーキが装備された。 そのパフォーマンスはまさしくスーパーカーのもので、最高速度は時速176マイル(約282km/h)、時速60マイル(約0-97km/h)までの加速タイムは5.1秒を誇った。
元イズデラ・ジャパンの正規輸入車両
今回の「Monterey 2024」オークションに「The Turbollection」から出品されたインペラトール108iは1991年式。つまり後期型のシリーズ2で、フロントのヘッドライトがポップアップ式であることでも識別できる。 さらに鋭い観察眼をお持ちのかたなら、シリーズ1と比べるとボディラインがソフトになるとともに、フロントグリルの開口部が大きくなること、フロントホイールアーチの上に通気孔が設けられ、ボンネットにオフセットされたNACAダクトがあることにもお気づきになるかもしれない。 またエキゾーストはリアエンドから、右後輪前方に斜めカットで設けられた上下2連のマフラーエンドに変更されたことにより、結果としてCW311プロトタイプとの類似性が高まった。 もともとこの個体は、日本の顧客に引き渡されるために作られたもの。じつはバブル景気まっさかりのわが国では「イズデラ・ジャパン」も設立され、赤いシリーズ1および、このシルバーのシリーズ2を合わせた2台のみながら、日本に正規輸入されていたのだ。また、当時の日本における輸入車の多くがそうであったように、左ハンドル仕様であった。 ドイツの高級スポーツカーとしてのセオリーに従ったエクステリアは、魅力的な色合いのシルバー塗装で仕上げられ、リッチなブラック本革レザーのインテリアと組み合わされている。
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