北新地の「チョウザメ料理専門店」話題に ── 大阪発・新たな食文化発信したい
大阪に国内唯一とも言えるチョウザメ料理専門店がある。昨年9月にオープンした「YUMMYdeli&WILDdeli(ヤミーデリ&ワイルドデリ)」(大阪市北区曽根崎新地)だが、チョウザメの刺身やブイヤベース煮込みなど、これまで味わったことのない新しい食感を楽しめ、ちょっとした話題を呼んでいる。
チョウザメは淡白で味わい深い食材
チョウザメは、サメに似ているが、サメではなく、チョウザメ科の魚の総称だ。淡水魚なのに、海産の白身魚の味に近く、あっさりとしていて淡白で、実に味わい深い食材と言える。 オーナーの箱井孝さん(38)が、専門店をつくったのも、実はチョウザメの食感に魅せられたからだという。「チョウザメを養殖しているところが国内にいくつかあるんですが、その1つの業者さんからお話を頂いて、やってみようかなと思ったんです。ヨーロッパでは普通に食べている食材なんです。日本ではキャビアは流通しているのに、食べ肉は流通していない。国内でも、チョウザメを食べられるお店は他にもありますが、複数の品種を味わえるのは当店だけです」(箱井オーナー)
シェフは京都で修業した創作料理が得意
シェフは京都で修業した創作料理を得意とし、最初は苦労したそうだが、希少な食材を極上の一皿に――をコンセプトに、工夫を凝らしたメニューを完成させた。 チョウザメとキャビアの皇帝丼(2500円)やチョウザメのブイヤベース煮込み(1760円)など。さらに同店ではカンガルーやワニ肉も味わえて、カンガルーのじっくり赤ワイン煮込み(1560円)、ワニのテールグリル仕立て(1380円)といった珍しい料理もある。 チョウザメは3億年前から同じ形で棲息し続けており、シーラカンスと同じくらいの歴史を持つ古代魚だ。古くから食材として利用され、西洋では古代ローマ時代より「ロイヤルフィッシュ」、また中国では「エンペラーフィッシュ」と呼ばれていたという。6~7品種あって、同店では、そのうちの2品種、シロチョウザメとベステルの2種類を扱っている。 シロチョウザメを使った「皇帝丼」を食してみると、刺身はタイに似た白身で、生で食べると、コリコリした歯ごたえがあり、確かに淡白な味でウマい。しかも、ひつまぶし仕立てになっていて、これは世界に1つしかない逸品だ。