知られざる「東海道新幹線」 “ママさん運転士”に密着……マル秘テクの「頭の中」 真夜中のレア現場にも潜入!『every.特集』
■運転士の仕事に復帰…その時、娘と夫は
車掌時代、運転士の姿を見て「私も新幹線を運転したい」と、その道を目指した松本さん。現場に復帰すると決めたのは、めいちゃんが2歳になる直前でした。 「妊娠して産休・育休に入る前から、新幹線の運転士に戻りたいなという気持ちはずっとありましたね。でも家族の協力がないと、やっぱり復帰できないので…」と松本さんは振り返ります。 夫の将さんも仕事上、帰宅が遅いことも多いといいます。松本さんが泊まりの日は、めいちゃんをおばあちゃんに預けていますが、当初は大変だったんだとか。 将さん 「復帰当初はずっと泣いていました。『寂しい』って言って。祖母の所へ連れていくのも一苦労でした」 ――ちょっと前は悲しかった? めいちゃん 「うん」 将さんは、当初から妻の復帰に賛成でした。 「新幹線の運転士は限られた人しかなれない仕事だと思ってますし、なりたい人も多くいる中で、やれるチャンスがあるんだったら復帰してほしいなと、僕自身思っていました」 「家族が協力できる範囲で復帰が可能であれば、後押ししたいなという気持ちではいました」
■運転士としての誇り…肝に銘じること
直近の2週間だと、松本さんの泊まり勤務は2回ほど。運転士にカムバックしたママを、めいちゃんはどう思っているのでしょうか。 ――お仕事を続けているのはいいですか? めいちゃん 「いい!」 ――やめないでほしいですか? めいちゃん 「うん!」 松本さん 「娘への愛情はやっぱり…」 めいちゃん 「たっぷり~」 松本さん 「たっぷり注いで、後悔しないようにはしたいですね」 松本さんには日々、肝に銘じていることがあります。「日本を支えている乗り物を運転させてもらっているので、誇りに思って、正確に安全に皆様が安心できるように今後も運転していきたいと思います」
■高度な技術とチームワークが必要な作業
運行の現場で安全を支えるプロフェッショナルがいる一方、ハード面で安全を守る仕事人たちもいます。 最終電車が走り去った、午前0時前。静岡・湖西市のとある場所に、28人の男たちが集いました。彼らはメンテナンスのスペシャリストたち。深夜に人知れず行う作業は、始発が走る前までに終わらせるのが絶対条件です。 向かったのは、新幹線が走り去ったばかりの線路。「保守用車接近です」「接近!」。やって来たのは、黄色と水色にペイントされた車両。それが、何台か連なっています。 この日のミッションは、高度な技術と、28人のチームワークが不可欠な特殊なメンテナンスといいます。