「Olive LOUNGE 渋谷店」「IKEA渋谷」で感じた、見直されるリアル店舗のあり方と体験設計!
ATMコーナーは一般的な銀行の無機質な雰囲気とは異なり、温かみのあるデザインが施されていました。普段はキャッシュレス生活をしている私ですが、緊急時用に持ち歩いている現金が少ないことを思い出し、ここでお金を引き出しました。 Olive LOUNGEでは、友人とリラックスして会話を楽しむ若者や、一人で勉強や作業をしている姿が見られました。銀行が「金融手続きのために行く場所」から「日常生活のなかで自然に過ごす場所」へと変化していることを強く実感しました。銀行業務だけでなく、日常生活の一部としての「場」を提供するこの店舗は、若年層と銀行の距離を縮める効果があると感じました。 ■ お目当ての「Oliver's Place」へ 私がOlive LOUNGE 渋谷店を訪れた一番の目的は、三井住友銀行の「Olive」サービスを使っているOliverユーザー(とその同伴者)のみが利用できるラウンジ「Oliver's Place」に行くことでした。いよいよ、そのお目当ての「Oliver's Place」に入ります。 Oliver's Placeには4~5室の会議室やソファ席があり、元貸金庫をリノベーションしたスペースもあります。元貸金庫には銀行の施設とは思えない独特な雰囲気が漂っていて、映画のスクリーンのなかに入ったかのような非日常的な感覚を味わいました。Oliveユーザーの同伴者も利用できるためか、特に若者の利用が目立ち、カップルや友人どうし、勉強目的の学生も見受けられました。
新しい体験型店舗がブランドロイヤリティを高める!
金融業界が他業種とコラボレーションする理由は、主に若者層の獲得を狙っていると考えられます。若者にとって、銀行はネットバンキングで事足りる存在であり、わざわざ店舗に足を運ぶ理由は少なくなっています。現在は、複数の口座をもつのが一般的で、ネット銀行の利用も増えています。 そうしたなか、スターバックスのような日常的に利用する場所と銀行が融合することで、銀行に行く行為が自然なものとなり、ATM利用やその他のサービスを利用する機会が増えることになります。 来店者数は、ATM利用者2,000人、スターバックス利用者2,000人、TSUTAYAのコワーキングスペース「SHARE LOUNGE」利用者200人の計4,200人/日、年間153万人*と予想されています。デジタルマーケティングの用語で表現すれば、銀行という店舗の「インプレッション数」や「ユニークユーザー」が増加し、結果的にロイヤリティ向上や口座開設数の増加、コンバージョンレートの向上が期待されます。 *引用元:日経クロストレンド「三井住友銀、異例の店舗戦略 あえて「Olive LOUNGE」開業のワケ()」 また、金融セミナーやトークイベントを開催できるイベントスペースも設置され、顧客が銀行を訪れる動機を多様化させている点も注目に値します。銀行業務のためだけでなく、生活の一部としての場所を提供することで、顧客との接点を増やし、ブランドロイヤリティを高める戦略が進んでいます。