「食中毒の危険性があるのでは」「めっちゃ危ない」と炎上…。生焼けハンバーグ騒動を生んだ外食業界の“病巣”
12月上旬、都内のある飲食店がSNSにアップしたハンバーグの動画が炎上した。 商品として提供しているというハンバーグはナイフでカットすると中が赤く、明らかに生のままの状態だった。動画はたちまち拡散され、「食中毒の危険性があるのでは」と騒ぎに。店は「今後はしっかり火を通した提供方法に変更する」と、反省と謝罪のコメントを出す事態になった。 【画像】あたなは食べられる? 若者に人気の「生肉ユッケのランチ」 とにかく日本人は生肉が大好きだ。今回に限らず、こうした危険スレスレの生肉を提供する飲食店の炎上はたびたび起きている。
例えばラーメンのレアチャーシューや厚切りとんかつ、鳥刺しなど、ネット上で危うい写真がアップされるたびに物議を醸している。 ■過去には生肉ユッケで5名が死亡 さかのぼれば2011年、富山の焼肉店で生肉のユッケを食べた5名が亡くなるという食中毒が起こった。 これを受けて翌年の2012年からは生の牛レバーの提供は全面的に禁止され、ユッケなどの正肉の生肉提供にも厳しい基準が設けられた。 それから10年以上経過しているが、食中毒や、食中毒の危険があるとして炎上する事案は定期的に起きている。なぜなのか。本稿では、フードビジネスニュースサイトの編集長である筆者が解説していきたい。
■生肉がきっかけで大ヒットの飲食店も 軽い腹痛くらいで済めばまだよいが、時として命の危険すらある肉の生食。にもかかわらず、どうして人は生肉を食べることがやめられないのか。 結論としては、それだけ、生肉には人々の“本能”に訴えかける魅力があるということだろう。 事実、生肉で集客に成功した飲食店は、枚挙にいとまがない。例えば、中目黒の焼肉店「Yakiniku.ushicoco. (ヤキニク ウシココ)」では、生肉ユッケのランチが大行列のできる大ヒットとなった。
内容は卵黄がのったユッケにごはん、スープ、サラダ、小鉢のセットだ(なお同店では保健所の生肉提供許可を取得しており、基準にのっとった生肉を提供しているという)。 実はこのヒット、店の意図しないところで発生したものだ。きっかけは、あるインスタグラマーが箸を使ってユッケを皿からごはんの上にスライドさせて写真を撮り、インスタグラムに投稿したこと。 生肉に卵、米という日本人が大好きなアイテムがひとつの茶碗の上に大集合した写真は映えまくり、広く拡散されるところとなった。たちまち写真を見た人たちが詰めかけ、連日、ランチ時には行列ができる繁盛ぶりに。