問題「階段を昇るとき、1歩で1段か2段で昇ると、15段では何通りの昇り方がありますか」…1段ずつ考えると、すんなり解けます
「前の2つのパターン数の和」になっていた
昇り方には、1段のときの1通りと2段のときの2通りを合わせると次の3段のときの3通りとなり、2段のときの2通りと3段のときの3通りを合わせると次の4段のときの5通りとなり、3段のときの3通りと4段のときの5通りを合わせると次の5段のときの8通りとなる……、といったように、1+2=3、2+3=5、3+5=8 と「前の2つのパターン数の和」になっている、というルールを見出すことができます。 このことから、n段の階段を昇る昇り方がaₙ通りあるとすると、 aₙ₊₂=aₙ₊₁+aₙ であるという仮説を立てることができます。
「演繹」の力によって、この仮説を検証
ここで、「演繹」の力によって、この仮説を検証します。 「前の2つのパターン数の和」になっていることをヒントにすると、たしかにn段に2段追加したn+2段の階段を昇る昇り方は、次図に示すように分けることができ、aₙ₊₂=aₙ₊₁+aₙとなることを確認できます(仮説が確証されました)。 最後に、「一般」を「具体」に落とし込む演繹を用いると、 6段の階段を昇る昇り方は、 5 + 8= 13(通り)7段の階段を昇る昇り方は、 8 + 13= 21(通り)8段の階段を昇る昇り方は、 13 + 21= 34(通り)9段の階段を昇る昇り方は、 21 + 34= 55(通り)10段の階段を昇る昇り方は、 34 + 55= 89(通り)11段の階段を昇る昇り方は、 55+ 89=144(通り)12段の階段を昇る昇り方は、 89+144=233(通り)13段の階段を昇る昇り方は、 144+233=377(通り)14段の階段を昇る昇り方は、 233+377=610(通り)15段の階段を昇る昇り方は、 377+610=987(通り)
大切なのは「解答の構想を練る」こと
このように、数学の問題を解く背後で、「帰納」と「演繹」が大活躍しています。そして、この思考法は自然科学のみならず、人文科学や社会科学などでも使われる汎用性があり、どのような学びにも役立ちます。 「偶然、問題が解けた」ではなく、「再現性」をもって解けるようにするためにも、「問題を読む、解答する」の間に、「解答の構想を練る(仮説を立てる)」ことを大切にしてください。 「帰納」と「演繹」の詳しい解説は、こちらで解説しています。 さて、じつは、人類史上2番目に多く読まれてきた本が、紀元前300 年頃に活躍したとされる古代ギリシャの数学者・ユークリッドの『原論』だといわれています。 紀元前から、数学を学ぶ人の教科書であり、バイブルであり続けてきたその本を例に、数学を学ぶのに大切なことは「より基礎的な事柄から積み上げること」というお話をしたいと思います。もちろん、次回も挑戦問題を用意しますので、どうぞお楽しみに。 中学数学で解く大学入試問題 数学的思考力が驚くほど身につく画期的学習法 有名大学の問題が「解ける喜び」「考える楽しさ」を体感しよう! 中学数学の知識・技術で大学入試問題にトライして、数学の真髄に触れる。
杉山 博宣(岐阜県立高等学校教諭)
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