「頑張って年金を増やしたら却って家計がマイナスに?」老後に住民税非課税世帯でいることのメリット
住民税非課税世帯のメリットはそれだけではない
住民税非課税世帯は、税金や社会保険料の減免が受けられるだけでなく、他にもさまざまな優遇があります。 ここでは年金生活者に関係する優遇措置を紹介します。 ●高額療養費制度の限度額が低くなる 住民税非課税世帯になると、医療機関などの窓口で支払う利用者負担の1ヵ月の世帯ごとの上限額が70歳未満の場合は3万5400円に、70歳以上の場合は2万4600円になります。 さらに70歳以上で年金収入が80万円以下の場合は1万5000円が上限額となります。これによって医療費の負担が軽くなります。 ●高額介護サービス費の限度額が低くなる 介護保険が適用される介護サービスの自己負担額が高額になった場合、申請によって自己負担限度額を超えた分の支給を受けることができます。 住民税非課税世帯は、1ヵ月の介護サービスの利用料の負担限度額は2万4600円(世帯)になります。 さらに年金収入が80万円以下の場合は1万5000円(個人)が負担限度額となります。これによって介護サービス費の負担が軽くなります。 ●介護保険施設の費用が軽減される 住民税非課税世帯に該当すると、介護保険施設やショートステイを利用する際の食費や居住費が軽減されます。 ただし軽減を受けるには、年金収入だけでなく、預貯金額の基準も満たす必要があります。 たとえば、住民税非課税世帯で年金収入が120万円超の場合は、持っている預貯金などが単身で500万円、夫婦で1500万円以下でないと軽減を受けることができません。 この他にも、インフルエンザの予防接種が無料になったり、公共の乗り物料金が割引になるなど、自治体独自の支援が受けられることもあります。
住民税非課税世帯は羨ましい?
住民税非課税世帯には、上記のような優遇措置があるため、医療や介護のお世話になる機会が多くなる年金受給者にとっては、思った以上にメリットを感じるかもしれません。 だからといって、年金は少なくていいと思ってしまうのは間違いです。 総務省「家計調査」の単身者の生活費を参考にすると、住民税が非課税となる上限である年収155万円で暮らすと、毎月約2万6000円不足します。 これでは暮らしていけないので、なんとか暮らしていけるようにするための優遇措置なのです。 年金がたくさんあれば、できること、やれることが多くなり、老後の暮らしを彩ってくれます。 そのために、厚生年金に加入したり、企業年金やiDeCoなどで年金額を増やしたりするわけです。 そこは踏まえた上で、単身者は155万円、夫婦世帯は211万円の「年金の壁」をギリギリ超えるくらいの人には、「年金収入を下げる」という方法を取ることもありだと思います。