「頑張って年金を増やしたら却って家計がマイナスに?」老後に住民税非課税世帯でいることのメリット
ニュースでよく聞く「住民税非課税世帯」という言葉。 文字通り、住民税が課税されない世帯のことですが、厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、65歳以上の世帯の35%が住民税非課税世帯です。 【図表1を見る】住民税非課税世帯に該当する年収目安はいくら?(級地区分ごと) 住民税非課税世帯でいると、さまざまな優遇措置があるため、あえて年金額を増やさないという考え方があります。 そこで、老後に住民税非課税世帯でいるとどのくらいメリットがあるのかをここで確認してみたいと思います。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
住民税非課税世帯の年収目安
最初に、収入が年金のみである場合の「住民税非課税世帯」に該当する収入の目安をみてみましょう。 住民税が非課税となる年収の限度額は、地域ごとの物価や生活水準の差を考慮した級地区分によって異なります。 東京などの都市部は1級地、地方の中核都市などは2級地、その他は3級地と分かれます。 1級地の限度額が一番高く設定されており、お住まいの地域がどの級地区分になるのかは厚生労働省のサイトから確認できます。 参照:厚生労働省「級地区分(平成30年10月1日版)」 住民税非課税世帯に該当する年収目安は【図表1】のとおりです。 1級地に住んでいる65歳以上の年金受給者は、単身であれば、年金収入が155万円以下、夫婦世帯であれば、年金収入が211万円以下で住民税非課税世帯に該当します。 年金収入には、国民年金、厚生年金、共済年金以外にも、企業年金や確定拠出型年金なども含まれます。 iDeCoも年金受け取りにすると雑所得となり、公的年金と同じ扱いになります。
年金収入211万円と212万円の手取りを計算
年金収入が限度額を超えると住民税非課税世帯ではなくなり、税金や社会保険料の減免が受けられなくなることで、住民税非課税世帯よりも手取りが減る場合があります。 そこで、非課税限度額である年金収入211万円と1万円超えて212万円になった時の手取りを比較してみたいと思います。 八王子(1級地)に住む年金暮らしの65歳以上の夫婦(妻は国民年金)を例にして、夫の年金収入が211万円の場合と212万円の場合の手取りを計算してみます。 ●年金収入:夫211万円、妻80万円 ・所得税、住民税ともに非課税 ・国民健康保険料:11万2686円 ・介護保険料:6万9000円 ・合計:18万1686円 ・世帯年収:291万円 ・手取り:272万8314円 ●年金収入:夫212万円、妻80万円 ・所得税は非課税 ・国民健康保険料:14万7613円 ・介護保険料:10万100円 ・住民税:5000円 ・合計:25万2713円 ・世帯年収:292万円 ・手取り:266万7287円 夫の年金が1万円増えたことで、税金と社会保険料の負担が7万1027円増えています。 つまり手取りで考えると、1万円年金が増えたことで約6万円手取りが減ってしまいました。 こうした逆転現象が起こることから「211万円の壁」などと呼ばれたりします。