「頑張って年金を増やしたら却って家計がマイナスに?」老後に住民税非課税世帯でいることのメリット
年金収入を下げる方法
ここでは、少しだけ「年金の壁」をオーバーしてしまった人が年金収入を下げる方法をお伝えします。 ●繰上げ受給をする 60歳から65歳になるまでの間に繰上げ受給の請求をすると、その時点に応じて年金が減額されます。 1ヵ月繰上げるごとに0.4%減額され、最大で24%の減額率となります。 たとえば、夫婦世帯(夫が妻を扶養している)の夫の本来の年金収入が215万円だった場合に、1年繰上げて64歳から受給を始めると、4.8%減額され204万6800円になるので、65歳から住民税非課税世帯に該当します。 ただし、一度減額された年金額は一生変わらないので、慎重に判断する必要があります。 ●iDeCoの受け取りを一時金にする 年金収入には公的年金以外にも、企業年金やiDeCoなども含みます。 iDeCoは年金として受け取る方法と一時金として受け取る方法、さらに年金と一時金を組み合わせて受け取る方法の3つの方法があり、年金で受け取る場合は雑所得となり、公的年金と合算されます。 そのため、公的年金のみでは住民税は非課税であったのに、iDeCoを年金で受け取ったことで非課税限度額を超えてしまい、住民税が課税されてしまうケースもあります。 この場合、iDeCoの受け取りを一時金か、一時金と年金の組み合わせで受け取り額を下げることで対応するといいでしょう。 iDeCoを一時金で受け取る場合は退職所得となります。
まとめにかえて
住民税非課税世帯には、税金や社会保険料の減免、給付金の支給など、さまざまな優遇措置があるため、収入を増やさないようにして住民税非課税世帯に留まる選択をする人は珍しくありません。 それだけメリットが多いことと、それを少しでも超えると急に負担が重くなることも関係しています。 物価が上昇し、中所得者の医療費の自己負担が増えるなど、年金生活は徐々に厳しくなってきています。 所得のある人から徴収し、低所得者に分配することは正しいことですが、徴収される側も余裕がなくなってきているのが今の日本です。 働いて収入を得ることのモチベーションを下げない制度設計も必要ではないでしょうか。