大逆転への準備を進める友野一希。“縁”あるミラノの舞台に立つことが「自分のスケート人生をドラマチックにする」
11月1日~3日にフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦、フランス大会が行われた。 【写真を見る】2023年の全日本選手権、友野一希は6位だった 日本女子は、樋口新葉が2位、住吉りをんが3位、三原舞依は7位だった。 男子は島田高志郎が2位、そして友野一希が5位で終えた。 GPシリーズ初戦の友野は、ショート3位で折り返し、迎えたフリーで4回転ジャンプに転倒があるも演技をまとめ5位でおえた。
全日本の順位が及ぼした影響
2023年の全日本選手権、友野は総合6位だった。 大阪出身の友野は、応援する阪神タイガースの日本一の勢いに乗り「アレ」を目指して挑んだ。 そのために目標を表彰台からトップに変え、ショート6位で最終滑走の第1滑走として登場した。 自信たっぷりの表現力にラストピースとする4回転ジャンプがはまるかが、友野にとって大きな分かれ道だった。 そして、そのキーとなる3本を組み込んだ4回転ジャンプを全て着氷させた。 勢いそのままに演技を終えると会場のボルテージが最高潮になった。 しかし、その後の佐藤駿、三浦佳生、鍵山優真、山本草太、そして引退した宇野昌磨さん全員がミスをほとんどしない近年まれに見る史上最高の戦いが繰り広げられ、激しい表彰台争いとなった。 その夜、チャンピオンシップス派遣のリリースが出たが、総合6位の友野の名前はなかった。 四大陸選手権に選ばれた5位の佐藤と6位の差は歴然だった。 さらに今年8月、熱を帯びたパリ五輪の隣、イタリア・ミラノで行われた代表強化合宿に男子トップ4人が参加したが、友野は召集されず、悔しい思いをした。
「順位って大切」と感じた半年間
2024-25シーズンが始まり、全日本選手権のスタートとなる近畿選手権前に友野に話を聞くことができた。 昨シーズンの全日本6位という結果が、大会派遣や代表強化合宿の選抜に影響していることを尋ねると、友野はこう話す。 「ミラノ合宿に行けなかったのは、もちろん悔しいですが、そこまでマイナスではないかな。ただ“順位って大切だな”と、すっごく感じた半年間でした」 「『メダリスト・オン・アイス』や『ドリーム・オン・アイス』も久しぶりに出ませんでしたが、お話はいただいて。『メダリストであるとか、結果ではなく、どうですか?』と言われましたが、自分の中で“結果がすべて”だと思っていますし、胸を張って出たい気持ちがありました」 「“みんなが全力出したときの今の立ち位置を知りたい”が昨シーズンで、それが叶ったシーズンでした。今年はみんな点数もどんどん上がってきて、自分も成長できている実感はあります。ただ、みんなもそれ以上のスピードで成長していると思います。僕は今、悔しい思いをして、自分と向き合いながら修行している感覚で、でもすごく充実した日々を送ることができています」