大逆転への準備を進める友野一希。“縁”あるミラノの舞台に立つことが「自分のスケート人生をドラマチックにする」
今一番心の底から求めていること
「僕はまだオリンピックの舞台を経験していないし、世界選手権のメダルやGPファイナルも行っていない。それなりに認知されているし、試合も出ているけど、まだアスリートとしてのぼり詰めていない」 長年、結果を出すことを突き詰めてきたからこその、友野の言葉だ。 しかし、今シーズンの友野のギラギラしたその目は、例年と違って見えた。 「今までもたくさんやってきましたが、今が一番オリンピックを心の底から求めています。これだけヒリヒリする戦いができる1年半はないと思うし、その1年半を戦い抜く力を備えて、初めて『おれ、表現者』って言ってもいいと思っています。今はただ、“表現がうまいだけの選手”なので、競技者としても両立させていきたい」
ミラノの地が自分の人生を変えた
その五輪が行われるミラノは、友野にとって“縁”がある場所だ。 初めて代打で出場した世界選手権がミラノだった。 2018年の世界選手権、当時故障のため欠場した羽生結弦さんの代打として出場し、ショート11位から大きな飛躍を遂げ、世界に名を知らしめた。 友野にとっては、最高の笑顔で世界デビューを飾った思い出の地でもある。 「あのミラノの世界選手権が、自分のスケート人生を間違いなく変えた。あれがないと今、僕はここに立っていないし、あれが自分の人生を変えて、自分で切り開いた未来だった」 そう熱く語る友野は、自分のスケート人生をドラマチックにするために、五輪へ行きたいと思いを強くする。 「今までいろいろな試合に出てトップへの光をつかめなかった中で、その光が見えた試合がミラノの世界選手権だった。(五輪への出場が)“真のトップスケーター”になるために、すごくドラマチックやなと。“ミラノに成長して帰りたい”気持ちがあるので、そういう意味でも縁があるし、続けていて良かったなと思えるように頑張りたい」 「オリンピックが僕の中で今は1番の目標、今はまず、ファイナルや世界選手権に選ばれることもありますが、大きな目標として“オリンピックに出ること”、出るだけじゃなくて日本代表として選ばれたら、メダルは見えてくる。“オリンピックでメダルを獲ること”それが1番」 スケート人生をドラマチックにしていくための1年半を全力で戦い抜く友野。さらなる成長を実感し、オリンピックの代表の座を貪欲に狙う友野の今シーズンに目が離せない。
フィギュアスケート取材班