大逆転への準備を進める友野一希。“縁”あるミラノの舞台に立つことが「自分のスケート人生をドラマチックにする」
今シーズンのテーマは「殻を破る」
「僕はあの順位で良かったと思っていますし、自分も一皮むけました。ただ日本で勝ち抜くには、世界で勝てる選手になるには、まだまだ足りないものがある。それを知ることができたシーズンだったのであまり後悔はない」 9月30日に行われたシーズン記者会見で、友野は「羽化」とテーマを掲げた。 そんな「殻を破りたい」という思いは、振付師の変更にも表れている。 毎年、友野らしさ全開のプログラムをつくり上げる振付師ミーシャ・ジーさんから変更し、ショートをシェイ=リーン・ボーンさん、そしてフリーをローリー・ニコルさんに依頼した。 「ミーシャももちろん素晴らしい振付師です。ただ、自分の中で何か変化が欲しくて。周りを見て、(鍵山)優真君も見たりして、振付師によってプログラムで成長している選手もかなり多いと感じました。もちろん、それ以上に努力もあると思いますが…」 変化を求めて振付師を変えたことは、友野にとってもいい出会いになったという。 「今だから自分はこなせるという勇気や自信も出てきました。今のタイミングでお願いしてよかったな、もっと前からお願いしときゃよかったと思うほど、すごくいい出会いでした」
振付師を変更しさらなる高みへ
そして、2人の振付師から得るものも大きいと友野は語る。 「プログラムに対する考え方が全然違って。ジャンプも『演技の一部としてこなせるようになりなさい』がスタンスなので。自分がレベルアップしないとプログラムをこなせないという、絶妙なレベル設定と振付に今、出会ってよかったです」 シェイ=リーン・ボーンさんとローリー・ニコルさんは、浅田真央さんらのプログラムを振り付けていることから、友野は2人の振付を極めた先に新たな自分がいると、自信を持っていた。 「真央ちゃんやみなさん通った道で、スケーティングスキルが抜群に上がった感覚があります。スケートに対する理解度もさらに深まったかな」
最後に狙う五輪代表の座
2年後に迫るミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を、友野は「スケート人生の集大成として全身全霊でその地位を狙う」と公言している。 「正直、今のままでは、まだ(世界で)メダルを獲ってない中途半端な人というイメージですし、まだそこです」 そして、五輪代表の座を狙いながら、友野は表現の面でも町田樹さんや高橋大輔さんのように突き詰めていきたいと話す。 「大ちゃんのスケートを見ると表現だけではない何か、スケートに向き合ってきたからこそ出る表現もあると思います。そして、僕は町田君もずっと見てきました。町田君は、世界選手権やオリンピックで最後の最後にそこを突き詰めて終えることができた。僕もそれが理想です」