【大草直子さんの提言vol.3】更年期の向き合い方、私の場合。美容医療は予算の上限を決めて
更年期の向き合い方。私の場合
この原稿を書いているとき、私は51歳。生理が遠くなり、ほぼ閉経かな、というタイミングです。 5年ほど前から、ほてりやイライラ、膣環境が不安定になることからの外陰部のかゆみ、ひどい肩こりなど、あらゆるストレスが引いたり襲ってきたりしていました。が、51歳の誕生日を迎えたあたりで経験した、気分の落ち込みは、なかなかに辛い経験でした。自律神経の乱れからくるものだとはわかっていても、基本メンタルが「高め安定」の私、めったに「落ちる」ことがなかったので、TIPSや対処法がわからなかった。なので、ただ自分を責めたり、周りのせいにしてしまったのです。そして、いつも好奇心旺盛、やりたいことがいっぱいだったのにやる気を失い、まるで、生きることに迷子のようになってしまったことにも、重ねて落ち込み、むしろびっくりしてしまったのでした 更年期は、生活スタイルを見直し、自らの健康状態に目を向ける時期。改める、新たにする、そんなきっかけだな、と思ったのは、最も辛い数か月を過ごし、しばらく経ってからでした。そして、さらに、自分のペースで幸せに生きていくギアチェンジをし、更年期を幸年期にしていくーーだとすると、医療を含めたさまざまなトリートメントは不可欠だなあ、と強く思います。 オバマ元大統領夫人のミシェル・オバマさんや、人気MCのオプラ・ウィンフリーさんも同じメッセージを出し続けています。 「できることはたくさんある。躊躇せずに、試してほしい。なるべく早く」と。 アロマオイルでの気分転換や規則正しい生活、漢方を飲む。 こうしたことももちろん大切ですが、私のように症状が進むと、正直効かない。私がやったことは、女性外来でホルモン値を調べ、最初はサプリメントを飲みました。ただし、それも、閉経を迎える頃になると、効果が薄くなってくる。 次は「命の母」。しばらくはとても良かった。特に気分の落ち込みには効果抜群でした。ただ、それでも対応できなくなってきます。メンタルのぶれに加えて、関節や筋肉に痛みなどが出てきたときに、「あ、これはダメだ」と、合成ホルモンによるホルモン治療を始めました。 これもまた効き目があり、摂り始めて数日もすると、驚くほど体力は復活し、食欲は戻り、気分も晴れやかに。何より、ぐったりとした疲労感も軽減されたのが良かった。しかし! 合成ホルモンの良いところ悪いところを調べていくうちに、ずっとは続けていかれないぞ、と思い始め、また別のクリニックへ。 そうして今は、ヤムイモというイモからできる天然由来100%のサプリメント、DHEA(男性ホルモン、女性ホルモンなど、あらゆる性ホルモンの源)と経皮吸収されるクリームと別のサプリメントでエストロゲンの補充をしています。 合成、天然ーー双方にメリットとデメリットがあるので、予算や病歴、症状の辛さで選ぶことが大事だな、と思います。この本を読んでいる若い世代の方にもお伝えしたいのが、30 代で一度血液検査によるホルモン値を測っておくと良いですよ、ということ。血圧と同じで、自分の値を知っておくことで、閉経間近、更年期症状を緩和するホルモン治療に役立ちます。 早い人だと30代後半から不具合が出始めるのでぜひ。 こうしたことを相談する女性外来が、日本にはまだあまりなく、特に地方に住んでいる方は、なかなか出会えないのが、残念な状況。SNSに寄せられる声の中にも「勇気を出して婦人科の先生に相談したけれど、〝もうそういう年なんだから諦めなさい〞と言われた」「女性外来をやっと見つけたのに、予約を取れるのは数か月先」など、「いやいやいや」と言いたくなる現状がたくさんあります。 もし言葉の選び方や伝え方、考え方など、自分と合わないお医者さんは、替えましょうね。次のクリニックや病院へ行きましょう。ホルモンは、ジェンダーや年齢にかかわらず、私たちの心と体に影響を与えます。しっかりと知識を持ち、何かあったときには相談できるドクターがいて、過度に恐れず、必ず対処法はあるんだ│と、安心できる人が増えるよう、これからも私の体験や情報を伝え続けたいと思っています。 ※本稿は『見て 触って 向き合って』(マガジンハウス)からより一部を抜粋・編集したものです。