薪の炎と食材が織りなす絶妙なハーモニー! 新進気鋭のシェフが作る独創的な料理の世界に迫る
本田直之グルメ密談―新時代のシェフたちが語る美食の未来図
食べロググルメ著名人として活躍し、グルメ情報に精通している本田直之さんが注目している「若手シェフ」にインタビューする連載。本田さん自身が店へ赴き、若手シェフの思いや展望を掘り下げていく。連載5回目は熊本「.know(ノウ)」の鍬本 峻(くわもと しゅん)シェフ。ガス火を一切使わない独創的なイノベーティブレストランを作った新進気鋭の若手シェフが描く未来の展望とは?
鍬本:小学2年生のときに家庭科でドレッシングを習って家で作ったのが、最初に誰かに食べてもらったソースでした。何かを作ったり、組み立てたりするのは、子どもの頃からずっと好きでしたね。高校中退したとき、今は亡き母から料理学校に行ってみたらと勧められて。それで一人暮らしをしながら、長崎の専門学校に行きました。卒業後は短期で、1カ月ぐらいル・コルドン・ブルー(パリの料理学校)に行きました。 本田:フランスに行ったの? 鍬本:はい。そのあたりから海外に興味を持つようになりました。「シェフってめちゃくちゃかっこいい仕事だなぁ」と思うようになったのもその頃です。今でも憧れの仕事なんですけど、当時パリでフランスパンを持って歩いてるコート姿のシェフたちに衝撃を受けましたね。 本田:それだけでもかっこよく見えるよね。料理学校で習ったのはフレンチ? 鍬本:フランス料理、洋食です。そのとき習ったオレンジの果汁を使った鴨のソースみたいな王道料理は今でも作ります。創作の場合、できるだけ新しい組み合わせや提案をできるようになりたいなと思っているんですけど、80年代の料理やクラシックなソースなどは今でも単純にファンとして作ります。 本田:峻の料理ってイノベーティブと思われるけれども、そういう伝統的なスタイルも使うよね。コルドンブルーを出て、その後どうしたの?