「てりたまバーガー」「大人様ランチ」…繁盛店が投入する"季節感のない"期間限定メニューの本当の意図
■インフレになり各社が積極的に活用 この方法は、多くのチェーン店が導入していて、インフレになってから、以前より積極的に行っています。 たとえば丸亀製麺だと、「かけうどん(並)かしわ天」は580円ですが、夏季限定の「とろけるチーズのトマたまカレーうどん」は920円です。 すき家で「牛丼(並)」は430円ですが、冬季に人気の「炭火焼き ほろほろチキンカレー」は750円です。 ふだんは並盛の牛丼だけを食べる人でも、この商品を注文するときは、200円の「サラダセット」も注文しそうな気がしませんか? そうなると、客単価は2倍以上になります。 そして、こういうお客が20%いると、全体の客単価が20%上がります。 ■季節感はなくていい 最近は、期間限定商品という言葉が使われるようになりましたが、和食やイタリアン出身の方だと、季節商品という言葉で覚えている方が多いと思います。言葉はどちらでもいいです。 季節商品と思って企画してもいいですが、すべてに季節感が必要なわけではありません。 マクドナルドは秋になると「月見バーガー」を販売します。その半年後、春には何を販売していますか? CM風に言うと、「春はてりたま」です。秋の月見に季節感はありますが、春のてりたまには何の根拠もなく、半年たったからイベントとして売っていて、それが売れるからずっと続いているわけです。 次のメリットは、松屋とかつやで説明します。 メリット③来店頻度を高められる可能性がある 期間限定商品で成功していると感じるのが、松屋とかつやです。ざっとですが、松屋は月に2アイテム、かつやは3週間1アイテムのペースで期間限定商品を売り込んできます。 松屋で話題になったのは、ジョージアの郷土料理をアレンジした「シュクメルリ鍋定食」「カットステーキのビーフストロガノフ」「ごろごろチキンのバターチキンカレー」などでしょう。肉料理というジャンルからは離れませんが、お国柄は広範囲、味は濃いめでニンニクの効いた商品が印象的、というイメージです。 一方のかつやは、オムカレーに海老フライ、タルタルチキンカツなどを盛り付けたお子様ランチのような「大人様ランチ」「トンテキとチキンカツの合い盛り丼」「タレカツとうま煮の合い盛り丼」などが記憶に残っています。揚げ物を中心にして複数の肉料理が食べられる、自由奔放に発想された商品、というイメージでしょうか。