【9月21日は認知症の日】もはや他人ごとではない《認知症の在宅介護》限界点が来る前に
毎年9月21日は「世界アルツハイマーデー」、そして日本でも「認知症の日」と制定されています。認知症についての啓発を目的としたこの日の存在を、皆さんご存じでしょうか。 ◆【図・グラフ】将来トイレなどの介護が必要になった場合の介護費用のまかない方(出所:内閣府) 厚生労働省は、来たる2025年には、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症となると推計。高齢化社会を迎え、認知症や介護の問題は他人事では済まされなくなってきました。いつ、自分の家族にふりかかってきてもおかしくない事案なのです。 認知症の親を持つ家族は、生活の中で様々な困難を抱えることになります。トイレや入浴、食事などの日常行為の介助をどうするのか。とりわけ、金銭面についての困りごとは多くの家庭で発生します。 筆者は認知症の実母を、老人ホームに入所させた経験があります。認知面の低下が著しい母に振り回されながらも在宅介護を続けるつもりでしたが、その方針を曲げざるをえないきっかけがあったからです。 「さすがにもう限界! もうこれ以上は在宅介護を続けられない」と筆者が感じた実体験とデータを織りまぜながら、認知症の在宅介護の限界点について考えます。 ※認知症の症状や進行具合には個人差があります。信頼できる医師の指示のもとで、適切な療養・介護を行ってください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
65歳以上の8割以上が「介護費用は自分で出す」つもり
内閣府公表の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」では、65歳以上男女の8割以上が排せつなどの介護が必要となった際、自分の資産(年金や貯蓄)から介護費用を賄うつもりと回答。 でも要介護度が上がったり、認知面の低下が進んだりした場合、実際にそのやりくりを考えていくのは多くの場合家族です。 在宅介護を続ける決意した人の中には「介護保険サービスと家族の協力で乗り切るつもり」「家族のだれかが仕事を辞めて介護に専念すればどうにかなるだろう」と考える人も少なくないでしょう。 住み慣れた我が家で家族と過ごすのは安心感にも繋がり、確かに認知症を持つ本人とって理想的かもしれません。しかし、それを可能にするのは家族構成や住環境などによるところが大きいのも事実です。 さらに認知症の症状には個人差があることも理解せねばなりません。少しの手助けをすれば在宅で暮らせる人がいる一方で、介護サービスをフル活用しても足りない人もいるのです。