アイディアが浮かばないのは何故? 「柔軟に脳が働く」習慣
逆もまた真なり
"渡る世間に鬼はなし"も真なら、"人を見たら泥棒と思え"というのも、残念ながらやはり真である。 一見いかにも矛盾であるが、一方を立てて他を棄てるようなことがあれば、残った方の正当性も怪しくなってしまう。両方そろってはじめてそれぞれが生きる。 『俳句的』
あえて対象からはなれてみる
夜目、遠目、笠の内というのも不分明な、はなれたものが美、おもしろさを創り出すことをあらわしている。対象に密着していては、美は生まれない。興味の座標は、対象から隔絶したところにあるということである。認識の皮肉である。 『第四人称』
読むことの真の効用
わかることはわかる。わからないことはわからない。これでは読むことはまことにあわれな作業になる。読書が人間形成に不可欠であるのは、知らないことを自分のものにすることができるからではないか。 『読書の方法』
予期せぬ発見
探し求めているものは見つけられないのに、予期していなかった、思いがけないものを見つける。だれしも、そういう経験はときどきある。 ものではなく、頭で考えることでも似たことがおこる。目指していることはなかなか解決しないで苦労しているのに、まったく予想外のことを発見するのである。 『ちょっとした勉強のコツ』
外山滋比古(お茶の水女子大学名誉教授)