イタリア料理店「Pizzeria da FIORE」(ピッツェリア・ダ・フィオーレ) こだわり抜いた本格ナポリピッツァ もっと勝手に美食倶楽部
古くから東西南北の街道が交わる宿場町として栄えた福崎町は、今も中国自動車道と播但連絡道路の主要幹線がクロスする交通の要衝。だからというわけではないけれど、遠方からでも「食べに訪れたい」という人気のイタリア料理店がこの町にある。「Pizzeria da FIORE」(ピッツェリア・ダ・フィオーレ)。 【写真】和の庭園を眺めながらイタリア料理を楽しめる「特等席」 店内に入るとまず、厨房(ちゅうぼう)で存在感を漂わせる薪窯が目に飛び込む。オーナーでピッツァ職人の西岡直人さん(51)が窯の中で燃え盛る炎をにらみながらパーラーを差し込んでいた。 「ナポリから取り寄せた薪窯は蓄熱の具合、炎の回り方が違うんです」と西岡さん。本格的なナポリピッツァが味わえると聞き、ナポリピッツァの何たるかも知らぬまま、数あるラインアップの中から定番で看板メニューのマルゲリータをいただいた。 直径30センチの生地にトマトソース、モッツァレラチーズ、バジリコがたっぷり。1人で食べるには「デカい!」と一瞬ひるんだものの、ふわふわモチモチの食感とオイリーな味わい、「耳」の焦げも香ばしく、一気に平らげてしまった。 生地を構成する小麦粉や塩、酵母はもちろん、トマトソースやチーズなどもイタリア産。そんな、イタリアにこだわった料理を築100年近い和のたたずまいの中でいただく-という時間・空間の居心地がいい。 江戸時代、当地の大庄屋だった三木家の分家の屋敷。当時の面影を残す庭もあり、四季折々の風情を楽しみながら食事が味わえる窓際は特等席だ。ライトアップされるディナー時の雰囲気も格別で、その席で提供される1日1組の限定コース料理もある。 地元の精肉店に生まれ、子供の頃から食に興味を持っていた西岡さん。学校卒業後は異業種の仕事に就いたが、その後、家業を手伝ううちに料理への思いが募って東京へ。イタリア料理店を中心に約13年間、修業を続け、店舗の立ち上げや料理長の経験なども積んで平成23年に帰郷。この物件と巡り合って27年9月、開店にこぎつけたそうだ。 敷地内には妻の妙子さん(44)がパティシエを務めるデザートショップがあり、こちらの商品も注文できる。終盤を迎えた名残のノジギクを眺めながら一番人気のケーキ「ミモザ」をいただいた。