【ABC特集】「物が欲しくて盗んでいる訳ではないのに、何がしたいんだろう」 通算2000日以上を刑務所で過ごした「窃盗症(クレプトマニア)」の女性が再び万引き 抑えられない「衝動」の正体とは
■「刑務所には入りたくないのが本音」
4月。2回目の公判を終え、山田さんは堀弁護士の事務所を訪ねました。 (山田さん) 「やっぱり厳しいですか。あのそういった、刑務所とかっていうのはどうしても・・・。私は、無罪放免というよりも刑務所には入りたくないのが本音です。だから、悪いことはしているけれども、執行猶予でも何でも、もう1回チャンスくださいっていうのが、本音です」 (堀弁護士) 「あなたがすべきことは、自分の病気を治すことに尽きるわけで。あなたが病気を治して、あなたが健康になって、あなたが輝けば、周りも輝くわけやから、だから自分自身の治療に専念することが、あなたがいま、すべきことですよ」 山田さんを叱咤激励する堀弁護士。「無罪になろうとは思わない」という山田さんの言葉を聞き、堀弁護士は刑事責任能力を裁判の争点にすることはやめることにしました。 (堀弁護士) 「山田さんがどんな症状に苦しんでいるのかを訴え、治療が優先ですよと裁判所にわかってもらえたら。こんな方を刑務所に入れても、出てきてまた罪を犯してしまいますから」
■言い渡された判決は・・・
6月中旬の判決の日。検察側は懲役3年を求刑していました。 (堀弁護士)「もし実刑やった場合に、控訴はしますか?」 (山田さん)「・・・お願いします」 (堀弁護士)「わかりました。私は国選弁護人で判決言い渡しを受けたらもう職務が終わるんですけど、控訴の申し立てまではできますのでそこまではします。もし実刑やった場合ね。じゃあ行きましょう」 裁判を支えてくれたNPO法人「ぴあらいふ」の中岸真実さんも駆けつけ、山田さんと並んで裁判所の建物に入っていきました。言い渡された判決は・・・。
(裁判官) 「主文、被告人を懲役1年8月に処する。前刑から4年4カ月あまりで本件犯行に及んでおり、法律を守る意識は低い。刑事責任は相当に重く、実刑の選択はやむを得ない」 判決は山田さんにとって厳しい内容となりました。確定すれば収監されることになります。
(山田さん)「自分でもちょっとわかってないので、病気か病気でないか。だから裁判官の先生にわかってもらえなかったのも当然かと思います。ただ、自分的には病気であろうが、病気でなかろうが、苦しいのは苦しいです。どう言っていいかわかりませんが、収監まで準備するだけですね・・・」 自らが犯してしまった罪の意識と、いまだ認知が進まず病像も明確にならない窃盗症との間で、山田さんの苦悩は続いています。
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