女性の体力低下、改善の鍵は運動習慣 時間がなくても…できることは?
30代、40代の女性の体力が低下している。この世代を中心に女性は運動習慣のある人が男性に比べて少ない傾向にあり、健康維持に向けた生活改善が大きな課題。体力を保ち、健康を維持するにはどの程度の運動が必要か、「家事や育児で時間がない」との声も聞かれる中、できることは―。関係者に聞いた。
継続で効果実感 隙間時間を有効に
「柔らかく膝を曲げて、顎が上がらないように」―。平日の午前、静岡市駿河区の市南部体育館。畳敷きの柔道場で、市スポーツ協会主催のヨガ教室が開かれていた。30代から80代までの女性20人ほどがマットを広げ、インストラクターの指導で正しい姿勢と呼吸を保ちつつ、ポーズを取ること1時間。参加者の額や背中に汗がにじんだ。 「普段使わないところを使う感じ。少しずつ体が動くようになってきました」。昨年から教室に通う石野由美子さん(52)=同区=はこう実感している。運動不足を感じ続けてきたが、下の子どもが高校生になったのを機に一念発起。体を動かそうと教室の戸をたたいた。 参加者の萩原いづみさん(67)=同=も「以前はまったく運動していなかった」という一人。定年退職して時間ができ、健康診断で運動を勧められたこともあって、1年半ほど前から教室に通う。「今風に言えば“整う”感じ」がやみつきになり、今では週4日、ヨガとエアロビクスに参加。健診結果も改善傾向だ。
スポーツ庁が2023年度に実施した調査から県が算出したところ、県内の20~70代の週1回以上のスポーツ実施率は52.2%。男女年代別では20代女性が35.6%と最低で、体力低下が指摘される40代女性(39.1%)と30代女性(43.5%)は次いで低い。男性より女性が低い傾向が強く、70代男性(74%)を除いて県のスポーツ推進計画(22~25年)の目標値70%を達成できていない。 ヨガの指導に当たるインストラクターの村岡裕子さん(39)は「特に若い女性の中に、体を動かせない人が増えている」と感じている。20代、30代でも筋力が弱いため姿勢を保てず、最初は背筋を真っすぐ伸ばして床に座るのが難しい人も。「それでも、週1回でも継続して参加するうち体が変わっていく」という。 村岡さんはその上で「スポーツジムや教室に通う時間がなくても、少しでも体を動かす努力をし、続けることが大事」と強調する。「じっと座っている時間を減らし、歩く、家事をするといった日常生活の動作を増やすのも有効」という。