「PDCAのPが長過ぎ問題」トップダウンの会社で頻発するメカニズムを解説!「リスクを最小限に抑えたい心理」が失敗を呼んでいませんか?
教科書通りのマーケティングや戦略設計だけでは限界がある。そう感じている方も多いのではないでしょうか。これは「戦略の理論」と「現場の現実」が乖離してしまっているからです。 ここでは、その典型例とも言える、PDCAの「Pが長過ぎ問題」について解説します。 (本稿は『顧客を見れば、戦略はいらない 解像度を上げるボトムアップマーケティング』から一部抜粋・編集したものです) ■「トップダウン組織」にありがちな失敗
多くの組織はトップダウン構造となっています。意思決定が上層部、つまり経営陣やリーダー層、マネージメント層から下位のメンバーへと伝達される構造を持つ組織形態です。 この形態では、組織の目標設定や戦略の決定が上層部で行われ、その指示や目標が下位の各層に伝達されることで組織全体が動いていきます。 大規模な企画やキャンペーンを実施する際、企業内部の多くのステークホルダーが関与し、意思決定に関わるため、多人数の合意形成をしながら慎重に進められることが一般的です。
プロジェクトの発端は経営陣が起点となり、マネージメント層、リーダー層を経て現場に落とし込まれます。そして、企画がその逆のプロセスをたどって上申されます。 その際、戦略策定で「失敗したくない」という心理が働き過ぎ、仮説に仮説を上塗りしてしまうという問題が生じるのです。 この「PDCAのPが長過ぎ問題」は、組織のトップダウン構造が生み出す典型的な失敗の一因と言えるでしょう。 PDCAをおさらいすると、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字をとったもので、企業が継続的に改善を行うためのプロセスとして広く知られています。特に、品質管理やプロジェクト管理でPDCAサイクルは重要なフレームワークとして機能します。
PDCAサイクルの本来の目的は、計画を立て、実行し、その結果を評価し、次のアクションに反映させることで、持続的な改善を行うことにあります。 しかし、トップダウン型の組織構造によって生まれたマーケティング戦略では、このサイクルがゆがめられることが少なくありません。特に「Plan(計画)」の段階が過度に長引くことで、戦略全体が非効率化し、結果として失敗に終わるケースが多くの現場で見受けられます。 ■「Pが長過ぎ問題」の発生メカニズム