「PDCAのPが長過ぎ問題」トップダウンの会社で頻発するメカニズムを解説!「リスクを最小限に抑えたい心理」が失敗を呼んでいませんか?
この「Pが長過ぎ問題」が発生するメカニズムを時系列に沿って解説したいと思います。 ステークホルダーの慎重な姿勢 トップダウン戦略では、多くのステークホルダーが戦略の策定に関与します。これにはマーケティング部門だけでなく、経営層、営業部門、製品開発チーム、法務部門など、様々な関係者が含まれます。 大規模なキャンペーンやプロジェクトでは多額の予算が投入されるため、失敗のリスクを最小限に抑えたいという心理が働きます。そのせいで関係者は計画段階で慎重になり過ぎる傾向があります。誰もが自分が承認した戦略で失敗したくはありません。
しかし、100%確実なロジックやエビデンス、フレームワークというものはこの世に存在しません。もし存在するなら、もはや意思決定者は不要です。しかし、過去から現在に至るまで意思決定者が存在し続けていることは、100%確実なものなどないことを証明しています。 仮説に仮説を上塗りする 失敗回避が目的化してしまう風潮が強まると、初期の仮説に対して、さらに仮説を上塗りする形で計画が進められます。 例えば、ターゲット市場の選定に関しても、最初の仮説に対して「もしこの市場が反応しなかったら」という懸念が生じ、その対策として別の仮説が追加されます。これが繰り返されると計画の複雑さが増し、もともとの目的から逸脱してしまいます。
計画段階の過度な長期化 仮説の上塗りが続くと計画段階が過度に長期化します。関係者がそれぞれの懸念を解消するために追加のデータやリサーチを要求し、次々と新しい仮説やシナリオを検討するため、計画の最終化に時間がかかります。 このようにして計画段階が延びることは、マーケティングのスピード感を損ねるだけでなく、リソースの無駄遣いにもつながります。 リスク回避のための非効率な決定 ステークホルダー間の合意を得るために、多くの妥協や非効率な決定が行われることがあります。