“天文学的” な罰金「200溝ドル」を実際に払おうとするとどうなるのか?
天文学的な罰金は文字通り天文学的なスケール
200溝ドル分、つまり200溝枚の1ドル紙幣(※4)は、縦に積み重ねた場合の厚さが230兆光年にも達します。これは観測可能な宇宙の直径である930億光年よりもはるかに長い規模となります(※5)。地球の陸地全てを紙幣の置き場所にしても、厚さは150光年に達してしまいます。 このような大量の紙幣を、地球で印刷することは不可能です。なぜなら紙幣の重さだけで地球の340万倍もの重さがあるためです。それどころか、太陽の10倍もの質量があるために、太陽系の全ての物質を使っても印刷ができないことになります。仮に太陽系の外から物質を調達し、200溝枚の1ドル紙幣を集めた場合、その塊は自らの重力で “ドル紙幣星” を作ることになります。 この先は筆者の思考実験的な部分もあるため、もしかしたら違うかもしれません。ドル紙幣星は、紙幣に含まれる水素によって核融合反応が発生し、恒星と化すと予測されます。ただし、通常の恒星は約4分の3が水素でできているのに対し、ドル紙幣星は6%しか水素が含まれていません。本来この質量の恒星は、太陽より高温で青白く輝くと予測されますが、ドル紙幣星は太陽よりずっと低温の、暗くて赤っぽい恒星となるでしょう。一方で質量が太陽の10倍もあるため、やがて超新星爆発を起こし、中性子星を残すと考えられます(※6)。 いずれにしても、罰金の支払いのためにドル紙幣星をロシアどころか、地球の近くに配置しない方がいいでしょう。ドル紙幣星から受ける潮汐力によって地球が粉々に破壊されるためです。質量が太陽より大きいため、太陽系の中心は太陽からドル紙幣星へとシフトし、太陽はドル紙幣星の伴星となります。地球以外の天体の運命は、公転軌道が大幅に変更されるので不確定ですが、ドル紙幣星ないし太陽へと墜落するか、太陽系ならぬ “ドル紙幣星系” から放り出される運命をたどる天体が多数発生するでしょう。 200溝ドルという天文学的な金額は、比喩ではなく事実として天文学的な数字であると言えそうです。