【陸上】小針陽葉が相次ぐケガから復活の100mV「自分の走りを見直してきた」 男子棒高跳・谷口海斗は5m00で快勝/IH東海
◇インターハイ東海地区大会(6月14~16日/岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場)2日目 インターハイ東海大会優勝者一覧をチェック! 福岡インターハイを懸けた東海地区大会の2日目が行われ、女子100mで小針陽葉(富士市立3静岡)が12秒02(-3.0)で2連覇を果たした。フィニッシュ直後に思わず涙があふれたのは、この1年の苦しかった日々が脳裏に蘇ったからに違いない。「うれしいの一言です」。レース後の率直な気持ちは、シンプルな一言に詰め込んだ。 100mで今季11秒台をマークした22人中、7人が東海大会に集った。高1歴代2位の11秒65を持つ小針だが、今季のベストは県大会でマークした11秒98。勝つことよりも、インターハイに行くことを重視していた。 「1点集中で、あまり相手を見ないようにしました。とにかく自分の走りをする。自分は後半が強いから後半から上げて、6番に入れば大丈夫と思っていました」 2年前の夏、100m、200mのスプリント2種目で2位に食い込み、衝撃的なインターハイデビューを飾った。昨年は新たに始めた走幅跳も含め、東海大会で3冠を達成。全国の舞台でも3種目で優勝を狙えるポジションにいた。 しかし、そこから歯車が狂い始める。インターハイ直前の静岡県選手権で右脚のハムストリングを肉離れ。無理をして出場したインターハイで今度は左脚を痛め、秋のU18大会でそれが再発。2024年が明けると練習中に再び右脚を痛めてしまった。「先生や家族、いろいろな人に迷惑を掛けてしまいました」と振り返る。春先からライバルが好記録を出すなか、5月下旬の県大会には何とか間に合い、100mと200mの2種目で2位。それでも、まだまだ復活と言える走りではなかった。 この日も「予選、準決勝はまだ様子見というか、恐る恐るというようなストライドで、のっしり行った感じだった」と言うが、「県大会と比べて怖さがなくなった」のは大きかった。予選を11秒94(-1.7)、準決勝を12秒20(-2.8)といずれも組トップで通過し、「予選で向かい風の中で11秒が出たことは収穫でした」と胸を張る。決勝の終盤は、静岡県大会で先着された佐野釉梨(静岡市立3)と争うかたちとなり、0.03秒差で競り勝った。 改めてこの1年を振り返ると、小針は「ケガをして良かったです」と語った。 「ケガをしなければ、こうやってじっくり自分の走りを見直して改善することもなかった。結果論かもしれませんが、ケガをして一から自分の走りを見直せたのは、良い期間だったなと思います」 U20世界選手権も視野に入れながらU20日本選手権に出場した後、福岡に乗り込むことになる。「3度目の正直です!」。悲願のインターハイ優勝を目指して、小針がいよいよギアを上げてきた。 女子800mでも小針のチームメイトの遠藤瑞季(富士市立3静岡)が2分08秒52と大会記録に迫る好タイムで優勝。同4×100mリレーは中京大中京(愛知)が45秒82で1位となり、済美(岐阜)は46秒25で2位。3位の静岡市立、4位の至学館(愛知)、5位の浜松市立(静岡)が46秒5台で続いている。 男子100mの土屋太陽(富士見3静岡)が10秒59(-0.9)で大会2連覇を達成。3000m障害は安田怜生(名古屋大谷3愛知)が9分07秒60でトップ。400mハードルは垣内太陽(伊勢3三重)が52秒82、4×100mリレーは豊川(愛知)が40秒35でそれぞれ制した。 フィールドでは男子棒高跳で今季高校最高の5m11を跳んでいる谷口海斗(中京大中京3愛知)が5m00で快勝したほか、前日の女子砲丸投を制した世古櫻紗(松阪商3三重)が円盤投も44m92で優勝を飾った。 全国インターハイは7月28日から8月1日に福岡・博多の森陸上競技場で開催。各地区大会上位6位までが出場する(※男女競歩は5位、女子棒高跳、女子三段跳、女子ハンマー投は4位まで、混成は3位+各地区4~6位の記録上位5名)。
小野哲史/月刊陸上競技