「学校に行ったら殺される」壮絶ないじめの恐怖でひきこもりに…実母と義父の虐待から、高校生でギャンブル依存症になった男性(48)の地獄の日々
ルポ〈ひきこもりからの脱出〉19
いじめで不登校になった48歳男性。大学を出てシステムエンジニアになったが、ブラックな職場でうつ病になり、ひきこもった。その後、母親の再婚相手に家を追い出され、ギャンブルで借金を作り、「もう消えてしまいたい」と自殺未遂。絶望の淵に立ちながらも、そこから這い上がった男性が、46歳で社会復帰を果たせた理由とは――。(前後編の前編) 【画像】幼少期に虐待といじめを受けたというなおさん(48)
転校早々いじめの標的に
「幼少期は地獄でしたよ、ホントに」 なおさん(48)が吐き捨てるように言う生活が始まったのは、小学2年生のとき。両親が離婚して、会社員の母親と2歳下の弟の3人で、都内に引っ越したことがきっかけだ。新居は母親の実家の近くだったが、町全体が荒れていてガラも悪い。なおさんは転校早々いじめの標的になってしまったのだという。 「家でテレビゲームをしているのが好きで、外に出ないおとなしいタイプだったんです。運動音痴で体育も苦手だし走るのも遅い。たぶん抵抗しなさそうだから(標的に)選ばれたって感じで、いろいろありましたね。 朝、学校に行くと、自分の椅子に画びょうがたくさん置いてあって、知らずに踏んじゃって、“うわぁ”とか。集団で囲まれてボコボコにされたりとか、無視もすごかった。うちの学年は、特に荒れているって評判で、中学卒業するまではずっとそんな感じだったから、学校に行くのは怖かったです」 なおさんは学校の先生に、いじめの事実を伝えた。だが、特に何も対応してくれず、いじめも収まらなかったそうだ。 母親にも、学校でいじめられていると何度も訴えた。でも、「あんたの根性が弱いからいけないんでしょ。強くならなきゃダメ」と取り合ってくれない。 「母親も必死だったんじゃないですか。離婚して仕事と家事と自分のことでいっぱいいっぱいで、子どものことはあんまり面倒みてくれなかったんですよ。おばあちゃんは同じ町にいたけど、離婚して1人で子どもを育てたスパルタな人なんで、怖くて弱音なんて吐けないっすよ。 今みたいにネットがない時代だから、どこに相談していいかもわかんないし、話し相手もいないし、とにかく孤独でした。なんでこんな家庭に生まれちゃったんだろうと、親を恨んだりもしたし、ホント早く死にたかったですね。子どものころは都営住宅の5階に住んでいたんで、そっから飛び降りようと考えたり。でも、理屈抜きで、“死ぬの、やっぱ怖いわー”って思って、実行できなかっただけで」
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