「学校に行ったら殺される」壮絶ないじめの恐怖でひきこもりに…実母と義父の虐待から、高校生でギャンブル依存症になった男性(48)の地獄の日々
ブラックな職場でうつ病を発症
情報学部でプログラミングを学び、大学を卒業したのは2000年。バブル崩壊後の就職氷河期だったが、唯一、IT業界だけは活況で、なおさんはIT企業の下請け会社にすんなり就職できた。 だが、3か月の研修が終わるとすぐ出向させられた。本当は就職と同時に1人暮らしをしたかったが、出向期間が延び延びになったため、実家暮らしのまま2年半勤務。出向先から元の会社に戻ると体に異変が起きる――。 「戻ったら壮絶ブラックなんすよ。2日連続で徹夜とか、むちゃくちゃなんすよ。一晩中会社にいて、朝ちょっと軽く寝ようと思って、最初のうちは眠れたんですけど、半年も経たずに睡眠サイクルが壊れちゃって。眠れないから、気力が湧かないし、力も入んない。 会社帰りに本屋に寄って、うつ病の特集をやってる雑誌のチェックシートを見たら、全部当てはまって。で、病院に行ったら、『うつ病だから、すぐ会社休め』って言われて、いったん会社を辞めました」 退職後は傷病手当を受給。そのまま2年間、家にひきこもって療養した。たまにパチンコ屋などに行く以外、自分の部屋からほとんど出ず、家族とも話さないまま食事も自分の部屋で食べていた。 睡眠障害はなかなか治らず、薬がどんどん増えて睡眠薬だけで4種類、抗うつ薬を含めて6、7種類の薬を服用。ようやく体調が少し安定したところで、大手不動産会社にシステムエンジニア(SE)として再就職をした。 「働けるようになったのなら家から出ていけ!」 母親の再婚相手にいきなり怒鳴られ、なおさんはその日のうちに家を出た。だが、住む場所はない。カプセルホテルや友人の家を転々としながら住まいを探した。 仕事は忙しく、終電になることもしばしば。母親に「呂律が回っていない」と指摘され、多剤処方に気付いて別の病院を探し、薬の量を調節してもらって働いていたが、うつ病が再発してしまう。結局、大手不動産会社も2年で辞めざるを得なかった。
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