「学校に行ったら殺される」壮絶ないじめの恐怖でひきこもりに…実母と義父の虐待から、高校生でギャンブル依存症になった男性(48)の地獄の日々
家にひきこもって母の恋人に殴られる
中学に入ると「学校に行ったら殺されるかもしれない」と恐怖を感じて登校できなくなった。学校に行くふりをして適当に近所を散歩して、母親が出勤したのを見計らって家に戻る。なおさんは家にひきこもって、ひたすらテレビゲームをしていた。 だが、当然のことながら欠席が続くと学校から親に連絡が入る。 「なんで学校サボるの?」「学校行きなさいよ!」 母親に説教をされたが、無視した。当時、よく家に来ていた母親の恋人にも不登校を責められ、母親の目の前で殴られた。 「ちっちゃいころから、母親には部屋が散らかってるとか、字が汚いとか、些細なことですぐ怒られたし、口答えしようものなら、ビンタが飛んできた。それが当たり前だと思って生きてきたけど、幼少期の環境はいろいろおかしかったし、今思うと虐待ですよね。それが昭和と言ってしまえばそれまでかもしれないけど、大人になって他の家と比較できるようになったら、うちは普通じゃなかったんだなと思いましたもん」 そこまで一気に話すと、なおさんは「タバコ吸いに行ってきます」と言って席を立つ。数分後に戻ってくると「幼少期のことを思い出すと、やっぱりけっこうフラッシュバックするんで……」とつぶやいた。
母親が再婚し、家に居場所がなくなる
中学3年になると、「腹をくくって」学校に戻った。そのまま不登校を続けると内申点が取れず、高校に行けなくなると思ったからだ。 「母親の姿を見ていたから、働かなければ食っていけないとは思ってたけど、中卒でちゃんとした仕事に就ける気はしなかったし、高卒なら、まだワンチャンあるかなって」 高校に入り、初めて普通の学校生活を送った。万年補欠だったがバレー部に入り、ファストフードでアルバイトも始めた。 しかし、2年生になると生活が再び荒れ始める。母親が再婚することになり、その相手と馬が合わなかったのが原因だ。 「家に居場所がなかったから、放課後は予備校で勉強するって言いながら、そのままパチンコ屋行ってギャンブルを覚え、タバコを覚えて。 予備校が別れた父親の会社の近くだったので、けっこう一緒に飯を食べたりもしてましたね」 父親の話が出たので、疑問だったことを聞いてみた。死にたいほど辛かった時期に、実の父親に助けを求めることはできなかったのかと。 「父親は他の女と浮気して蒸発しちゃったような遊び人だったんですよ。やっぱ軽蔑してましたし、それに、向こうも新しい家庭を持っていたから。たまに会うと小遣いはたくさんくれたけど、助けてくれとは言えなかったですね」 高校卒業を前に、母親から三択を突き付けられた。このまま母親と暮らすか、父親のところに行くか、1人暮らしをするか。 「そんなこと友だちにも相談できないじゃないですか。1人で悶々と悩んで、結局、母親のもとにいて、大学受験を頑張る方向になったけど、勉強は全然、身が入らなかったですね。母親の再婚相手と顔を合わせたくないから、パチンコ屋とかゲーセンに行って、なるべく家に帰らないようにしてました」 2浪し、もう後がないと思っていたとき、たまたま得意な数学だけで受験できる大学を見つけ、合格した。
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