あらためてなぜ投資は「長期」が重要なのか?業界歴30年のプロ「長い時間が<アチャー>を<結果オーライ>に変えてくれる」
2024年1月から新NISAがスタートし、「投資に興味がある」「知識を深めたい」と思っている人も多いはず。しかし、日興アセットマネジメントの今福啓之さんは「運用を始めるだけで何かすごいことが起こるという期待は違う」と話します。そこで今回は、今福さんの2人の娘とそれぞれの夫に向けて書いた、資産形成の大切な考え方を自著『投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える資産形成の本音の話』から、一部引用、再編集してお届けします。 【イラスト】「アチャー」と思いがちな中において、「結果オーライ」とはこの絵のようなこと * * * * * * * ◆長期投資は何のため? 長期投資は目的でも決まりごとでもない。目標金額が達成できたら、さっさとやめればいいんだ。 それでも皆が「長期投資を」と言うのはなぜなんだろう。 それは「長期で持てば複利効果という魔法の力が働くから」などではなくて、「長期で構えることでうまく行く可能性が高まることが、過去の経験で知られているから」程度の理由なんだよね。 身もフタもない言い方で悪いけど、多分大きくは間違ってないと思う。 もう少し丁寧に説明するなら、うまく行く可能性、蓋然性が高い理由は大きく2つあると思う。 理由その1は「長い時間がないと、そもそも投資資産自体が成長できないから」という本質論。 そして理由その2は「長い時間で構えると多少のタイミングの間違いが『結果オーライ』になりやすいから」という経験則だ。
◆企業の価値は、時間をかけてこそ 「理由その1」から説明するね。 企業って今日明日で大変身はできなくても、ある程度の長い時間があれば利益を大きく成長させ、株価もそれを受けて大きく上昇する可能性があるよね。 株価は「ムード」で動かす人がいるために、今日明日どころか秒単位で変わるけど、実際の企業の価値は時間をかけてこそ、大きく変わっていくわけだ。 株価は長期的には企業の価値を反映して決まるものだが、短期では「ムード」先行で間違っていることが多いし、そもそもの企業の価値自体が短い時間では高まりようがないというのが「理由その1」だ。 君たちが働いている会社のことを思えば当たり前のことだよね。 成長しようと毎日皆で頑張っているのは間違いないけど、今日と明日で大きな違いなどあるわけがない。 それなのに投資対象となった途端、人はすぐに企業が変わるとでも思っているかのように株価を判断しようとする。
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