定年退職したその日からやってくる「退屈すぎてどうしようもない」という悩み…老後の生活に潜む「悲惨な罠」
「学び直し」はこうして見つける
たとえば、奈良大学通信教育部の文化財歴史学科では、考古学や文化財に関する在宅学習を中心に、夏期や冬期には奈良の史跡など現地見学を含む三日間の集中講義を実施しています。卒業に必要な所定の単位をとれば、文学士の学位が授与されるそうです。 この学科の学生の約六割は六〇歳以上で、そのうち約四割が関東在住。自宅にいながら歴史的遺産の宝庫である奈良を拠点とした「学び直し」ができ、集中講義では実際の歴史の舞台で学べるということで、シニア世代の人気を集めているようです。 二〇〇五年に開設されたこの学科からは、二〇二二年度までに一八九三人が卒業し、卒業生らで組織する各地の学友会では、研究発表や小旅行で学びをさらに深めているそうです。また、働きながら学ぶ三〇代、四〇代の学生もおり、博物館学芸員の資格をとって卒業後に博物館に転職した人もいるのです。 ほかにも各地の大学では、学外の人を対象とした文系・理系の講座を実施しているところがあります。そこから自分に合った「新たな学び」や「学び直し」の機会を探してみるのもいいでしょう。 いかがですか。自宅の中か外かを問わず、歳をとっても「学び」の機会はこんなにあるんです。それらを利用しない手はありませんよ。 何かを学ぶワクワク感は、世代を問わず人生を豊かにしてくれるものですが、日常生活で刺激が少なくなりがちなシニア世代こそ、そのワクワク感が必要だと思います。 なにも一度に全部やるわけじゃあないんです。時間はいくらでもあります。知的刺激をそれなりに自分に与え、毎日を、希望を失わずに生き生きと過ごしていけるようにしようじゃありませんか! さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。
丹羽 宇一郎