定年退職したその日からやってくる「退屈すぎてどうしようもない」という悩み…老後の生活に潜む「悲惨な罠」
元伊藤忠商事会長、そして民間人初の中国大使を務めた丹羽宇一郎さん。仕事に生涯を捧げてきた名経営者も85歳を迎え、人生の佳境に差し掛かった。『老いた今だから』では、歳を重ねた今だからこそ見えてきた日々の楽しみ方が書かれている。 【画像】ほとんどの人が老後を大失敗する「根本的な理由」 ※本記事は丹羽宇一郎『老いた今だから』から抜粋・編集したものです。
いきなり暇になる
定年退職後に「新たな学び」や「学び直し」をする機会は、自宅での読書や「自由研究」、オンライン勉強会のほかにもさまざまにあります。 たとえば、その一つが海外留学です。海外留学というと「学生や若者のもの」という印象があるかもしれませんが、近年はシニア層も、海外で語学を学び直したい、異文化に触れて視野を広げたい、という人が多くなっています。 学生時代に海外留学を目指したが資金面の事情で断念した人、退職後の起業を視野に入れて現地のビジネスパーソンと交流を深めたい人、料理やフラワーアレンジメントなどの趣味に本場の国で取り組みたい人などが、定年退職して時間やお金に余裕ができたのを機に、夢を叶えるため積極的に海外へ出て行くケースもあるのです。 世界各国の語学学校では、基本的に年齢の上限を設けていないようですが、こうしたニーズに対応したシニア限定プログラムを設け、シニア世代の関心が高い文化講座や芸術鑑賞などの課外活動とセットにしているところもあります。語学を学びながら異文化を体験し、帰国後は、うまくいけば語学系の仕事に就ける可能性もあるかもしれません。 日本の旅行会社や留学エージェントのなかには、シニア世代を対象に、三ヵ月や半年間の短期留学プランを紹介しているところもあります。現役時代に何ヵ月もの留学はできないので、リタイア後のこういうプランは人気があり、夫婦一緒に留学するケースや、夫と妻が時期をずらして別々に留学するケースもあるようです。 コロナ禍がピークを過ぎたこともあり、今後は海外で学ぶ人がシニア世代でさらに増えていくかもしれません。 一方、国内においては、退職後に「シニア大学生」として学び直す高齢者が増えています。大学側も、シニア向けの専門コースや奨学金制度などを設けて取り込みに前向きです。 定年後に再就職した人や、体調が万全でない人でも、「毎日通学するのは難しい」と諦めることはありません。通信教育を利用すればいいのです。