佐藤輝よ、関西のスターにとどまるな 来季は甲子園の浜風を克服して日本の大砲になれ! 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
■来季が試金石に
来季はプロ5年目、年齢も26歳になる。まだまだ若く、将来性や伸びしろは十分にある。それはその通りなのですが、プロ野球界を代表する強打者にのし上がっていけるのか、それとも阪神の主軸として「関西のスター」で収まってしまうのかは、来季の打撃内容が大きなカギを握っているような気がします。
どうしてか? 長く阪神を取材してきました。その中でさまざまな選手の栄枯盛衰を見てきました。あえて誰とは書きませんが、プロ4~5年目がピークで、そこから下降線をたどった選手を何人も見てきました。もうワンランク上の選手に、日本を代表する選手になる前にピークアウトしてしまった選手を見てきたのです。これを「タイガース伝統の経年劣化」と呼んだこともあります。
なのでパワーのある佐藤輝には、プロ野球界でさまざまなことを経験した中で、もっと上のレベルの選手に伸びてほしいと願います。来季はある意味、佐藤輝の打者としてのスケールを決めるシーズンになるような気がしてなりません。
秋季キャンプでは「敗者の特権です」といい、練習に明け暮れていました。その中で、打撃練習では打球方向を中堅から左翼に定めて柵越えを連発していました。まさに浜風と「友達」になる、甲子園対策なのでしょうね。
掛布やバースは外角球を左方向に「引っ張って」本塁打にしました。甲子園を克服すれば、掛布や金本のような「日本球界の大砲」になれるはずです。2025年の来年度は大きく飛躍する一年にしてほしいものですね。その時、藤川球児監督は歓喜の輪の中にいるはずです。
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【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。