パワハラ騒動で楽天退団→メキシコでオールスター出場…安楽智大、現地での“本当の評価”「通訳といつも一緒」「打者が慣れてきた。でも…」
安樂が身を置く煙の街
首都メキシコシティのベニート・フアレス国際空港からタクシーで市街に向かうと、鼻をつくような空気が車窓から流れ込んでくる。この街では大気汚染が深刻で、空がスモッグの層に絶えず覆われていることから“エル・ウーモ(煙)”と地元の人々に呼ばれている。 【現地写真】「アンラクー! サイン、プリーズ!」メキシコでファン対応する安楽、日本を飛び出して奮闘する安楽のいまの様子を写真で見る 約920万人が密集して暮らすメキシコシティは平均標高2240mの高地にある。旅行者や出張者は、高山病に気をつけるように注意喚起されるほどだ。 今季、この街に本拠を構える名門球団ディアブロス・ロホス・デル・メヒコ(英語名メキシコシティ・レッドデビルズ)に加わったのが元楽天の右腕投手・安樂智大だ。
富士山の5合目と同じような標高
「高地なのでボールが飛ぶとは、正直投げていて1回くらいしか感じていません。でも球場に来て、契約しているトレーニングコーチからメニューとして出されているランニングをすると、心拍数の上がり方が日本とは違うなと。富士山の五合目と同じぐらいの標高(※富士宮口五合目は標高約2400m)なので、ランニングはしんどいなと思います」 仙台平野からメキシコの高地へと安樂が移った理由は、昨年秋にパワハラ騒動が発覚してリリースされたからだ。日本の社会人野球や独立リーグ球団から誘いもあった一方、海外からの誘いも舞い込んだ。メキシコからはスルタネス・デ・モンテレイという人気球団もあったが、10年ぶりの優勝を目指すディアブロスに加入した。
メキシカンリーグの変化
「たぶん皆さんが思っているメキシカンリーグとは今年変わっています」 安樂が言うように今、メキシカンリーグはリーグビジネスに力を入れて急成長中だ。今季2球団が新たに加わって全20球団となり、外国人枠が7人から20人に拡大した。 このルール改正をうまく活用しているのが、南地区で48勝13敗、勝率.787で2位に13.5ゲーム差をつけて独走するディアブロスだ(今季の成績は現地時間6月26日時点、以下同)。 実業家で個人資産15億ドルとアメリカの雑誌「フォーブス」に報じられたこともあるオーナーのアルフレド・アルプ・エルの財力に支えられ、サイヤング賞投手のトレバー・バウアーやオールスター8度選出のロビンソン・カノなど元メジャーリーガーを次々と戦力に加えた。
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