パワハラ騒動で楽天退団→メキシコでオールスター出場…安楽智大、現地での“本当の評価”「通訳といつも一緒」「打者が慣れてきた。でも…」
どれくらい馴染んでいるのか
今季のメキシカンリーグはレベルが急激に高まり、安樂は「3Aとほぼ互角」とメジャー経験を持つチームメイトから聞いている。求められる成績を残せなければ1試合でクビになるケースも珍しくなく、「NPBでプレーできない選手が移籍する場所」という位置づけではない。 そうしたメキシカンリーグで首位を独走するディアブロスで、安樂はどれくらい馴染んでいるのだろうか。 「いつも通訳といるから、正直わからないんだ」 ディアブロスの広報、ミゲル・ボアダはそう話した。一方、試合中にベンチ隣のカメラマン席から撮影していた写真家の龍フェルケルによると、チームメイトと英語で会話を交わしていたという。その一人で、安樂とよく話すというバウアーに聞くと「自分で話すこと以上に、言われた内容は理解していると思う」と答えた。
食、言語…メキシコに溶け込もうと努力
言わずもがな、安樂はメキシコで外国人選手だ。チームに溶け込めるように、英語とスペイン語で話しかけているという。 「難しい言葉は通訳さんを介した会話になるけど、自分で携帯で調べて、発音して伝えるようにしています。そのほうが相手にも伝わるだろうし、自分も覚えられるし。野球はアメリカから伝わってきたスポーツなので、英語で言われても『そういうことを伝えようとしているな』ってある程度わかりますね」 休みの前日にはクラブハウスでテキーラを嗜(たしな)んだり、オフになればチームメイトと外食に出掛けてタコスを食べたりすることもあるという。
この1年を無駄にしたくない
「人生が終わったときに『俺、あのとき、メキシコ行って良かったな』って思えれば、それがベストだと思います。この1年を無駄にしたくないので、練習や試合でもコミュニケーションを取りたいなと。メキシコに来ていなかったら、スペイン語をまったく覚えていなかったので(笑)」 メキシコにやって来たのは、本人がキャリアの中で思い描いていた形ではなかっただろう。騒動に関し、今もさまざまな思いを抱いている人がいるのも事実だ。 それでも、すべて自分が蒔いた種だと受け止め、安樂は新天地から前に進もうとしている。
(「プロ野球PRESS」中島大輔 = 文)
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