パワハラ騒動で楽天退団→メキシコでオールスター出場…安楽智大、現地での“本当の評価”「通訳といつも一緒」「打者が慣れてきた。でも…」
日本と異なる“打高投低”で、フル回転
一方、安樂はスプリングトレーニングに招待選手として参加し、正式契約に至った。ディアブロスでは勝ちゲームの8回を任され、チーム最多の31試合に登板。61試合消化時点の数字なので、2試合に1回は投げている計算だ。 防御率は3.56。凡庸な成績に映るかもしれないが、ディアブロスのチーム防御率が4.03(南地区20チーム中3位)であることを考慮に入れると、メキシカンリーグでは悪くない数字と言える。規定投球回数に届いている先発投手で防御率3点以下は5人のみだ。 近年、極端な“投高打低”が進む日米と異なり、メキシコ球界は伝統的に“打高投低”という特徴がある。その一因はメキシコシティをはじめ、高地の本拠地がいくつかあることだと言われる。 MLBではコロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールド(標高約1600m)が打者有利のスタジアムとして名高いが、それは高地においては空気が薄くなってボールが飛びやすく、変化球の動きも小さくなるからだ。 ただし、一概にメキシコと言ってもタイムゾーンが4つあるほど広大で、地域ごとに特色は異なるが、リーグとして“打高投低”なのは間違いない。ちなみに41歳になったカノは50試合で打率.452(リーグ1位)、OPS1.181(同2位)と打ちまくっている。
オールスター出場も、防御率が悪化。一体、何が?
そんな環境で安樂は異なるマウンドやボールに適応し、「8回の男」としてチームの信頼を勝ち取っている。キャリア初のオールスターにも選出された。 一方で、オールスター選出発表のあった17試合登板時点では防御率2.16だったが、31試合登板時点で同3.56と徐々に悪化。ディアブロスにアナリストとして雇われ、現在同球団のアカデミーでオペレーションディレクターを務めるオクタビオ・ヘルナンデスはこう分析する。 「標高が高いとボールの変化は小さくなる。それは速球でも同じだ。だから球速や球威、コントロールが必要になる。それらがあれば、高地でも左右されないからね。安樂の特徴として、ストレートはフラットだ(※動きが少ないという意味)。だから打者が慣れてきたのだろう。でも、強力なスプリットとコントロールを武器に抑えている」
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