「123万円の壁」で7000億円の税収減、政府が見積もり…それでも全税収は過去最高の見通し
政府は、2025年度税制改正により25年度の国の税収が0・7兆円減ると見積もっていることがわかった。年収103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」を123万円まで引き上げることによる所得税の減収が主な要因だ。自民、公明、国民民主の3党が年明けに行う「103万円の壁」引き上げの再協議の結果、減収額が増える可能性もある。 【図】一目でわかる…2025年度与党税制改正大綱のポイント
見積もりは、「103万円の壁」を123万円まで引き上げるとする自公案に基づくものだ。所得税で0・5兆~0・6兆円程度の減収を見込んでいる。
税制改正では、ほかにも個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の掛け金の上限引き上げや、中小企業向け優遇税制の拡充といった減収項目がある。所得が10億円超の中小企業に適用される法人税の軽減税率の引き上げなどの増収項目もあるが、全体では減収が上回り、税収の押し下げ要因となる。
それでも25年度の税収は、78・4兆円で過去最高になる見通しだ。政府は、好調な企業業績などを背景に、所得税や法人税、消費税を中心に伸びるとみている。
政府は、国民民主の主張通りに「103万円の壁」を178万円に引き上げる場合は、国と地方を合わせて7兆~8兆円程度、国税の所得税だけでは4兆円程度の減収になると見込む。